「バージョン」とは?
「バージョン」(英語:version)とは、書物などにおける「版(はん)」のこと、およびコンピュータのソフトウェアなどにおける「改訂の回数」を表す言葉です。
より広義には、ある製品やコンテンツにおいて、元の機能に加えて付加的な機能を追加したり、不具合やエラーを取り除いたりした「改良版」や「派生型」のことを指し、そうした物を「新しいバージョン」や「別のバージョン」などと呼びます。
いわば、あるひとつの「提供物」に関する異形・翻案・翻訳・改造・改作や、機能変更の履歴、出版・出荷ごとの改良番号などを示す指標ですが、世界共通の明確な定義があるわけではなく、「バージョン」の取り扱いは提供元や業界によって異なります。
「バージョン1.00」
明確に定義されているわけではないものの、ある製品の「最初の正式版」を「1」や「1.00」として表現するのが慣例となっています(「オリジナルバージョン」とも呼ぶ)。特に、ITソフトウェアなどでは顕著な傾向です。
後に大きな改良・変更が加えられたバージョンでは「2.00」とピリオド前の数字が加算され、小さな変更が加えられたバージョンでは「1.01」など、小さな桁が加算されます。大規模なソフトウェアでは、「2.13.01」のように、ピリオドが複数用いられることもあります。
逆に、正式販売・完成前の「試供品」や「テストバージョン」では「0.1」や「0.90」といった「1」未満の数値が用いられることがありますが、こちらも特に使用規則などがあるわけではありません。
「バージョン」の使い方
「バージョン」は、表記としては、既に紹介したように「バージョン1.xx」と後ろに数字が並んだり、「ver.1.00」や「〇〇ver.」のように「ver.」と省略されて用いられることもあります。稀ながら、「ヴァージョン」と書かれることもあります。
「改良品」としての「バージョン」
「バージョン」は、基本的には時系列に沿った改訂・改良の版を表すため、「新/旧」や「前/後」の形容とともに用いられます。基本的には「新しい」バージョンのほうが動作も安定しており機能も豊富であるため、価値が高いと判断されます。
特に、オンラインのIT分野では、セキュリティ対策や新しい機能・コンテンツ追加のために「最新バージョンの利用」が盛んに呼びかけられており、そのデバイスで新しいバージョンを利用可能にする「バージョン・アップ」が必須のソフトウェアもあります。
【例文】
- この製品の新しいバージョンである「6」が発売された。「6」ではカメラに新しい機能が加わった。
- セキュリティ対策のために、OSやブラウザは最新のバージョンに更新しておきましょう。
- ペイントソフトの新しいバージョンに不具合が発覚したので、前のバージョンに戻そう。
「別の提供形態」としての「バージョン」
一方で、「バージョン」は時系列とは特に関係のない「別の提供形態」を指すこともあります。
例えば、音楽分野では通常(オリジナル)の楽曲とは別に、「カラオケ(歌詞なし)バージョン」「ライブ録音バージョン」「テレビサイズバージョン」などが「バージョン違い」として提供される場合があります。
【例文】
- あの有名な楽曲をアーティストAが歌う「Aバージョン」を気に入っている。
- 宗教上の問題から、海外で発売される日本の創作物は十字架などのデザインが違う「海外向けバージョン」であることも多い。
- この映画のオリジナルバージョンは、フィルムが戦争で焼失したため見ることができない。
「バージョン」の語源
英語「version」の語源はラテン語「vertere」に該当し、その意味は「回る、変える、向く」です。あるひとつの製品・作品において、「別の解釈をする」「内容を転換する」ことであると受け止めれば良いでしょう。
このため、英単語の「version」には「個人的な説明」や「作品や役柄に対するその人ならではの演技・解釈」と言った意味もありますが、日本語(カタカナ語)では少々薄れているようです。
同語源の英単語には、「reverse」(逆にする)、「universal」(全世界に通じる)、「convert」(変換する、変形させる)などがあります。