「気圧される」の意味
「気圧される」(けおされる)とは、「全体の感じや、相手の勢いに圧倒される」という意味の言葉です。
「気配」「気分」「気が散る」のように、「気」には「心の動き」や「はっきり実体をつかめないが、その場を包み、漂うもの」の意味があります。
「気圧される」の場合は、相手の何とも言えない雰囲気などに、「(肉体的にではなく)気分的に圧力を感じる」と解釈すればよいでしょう。(あるいは、相手の雰囲気・様子なども「気」であると解釈できます)
「気圧される」の使い方
「気圧される」という言葉を使うにあたっては、「気」が「実体のないもの、かつ、不可視のもの」であることだけしっかり押さえておきましょう。肉体に物理的な圧力を受けることは、「気圧される」とは言いません。
例えば、岩のような大男が目の前に立ち塞がった時や、年長者から大声で叱責された時、あなたはその「迫力」や「威圧感」に、身体が押さえつけられるような感じを受けるかもしれません。それが「気圧される」状態です。
人間相手ではなくても、例えば何万人という観衆が見守る舞台にひとりで立つ時など、その状況に慣れていなければ、会場の雰囲気に「気圧され」てしまうこともあるでしょう。
例文
- 黙ってこちらをじっと見つめてくる彼女に気圧されて、彼は謝罪の言葉すら口にすることができなかった。
- 毛を逆立てて怒り狂い、激しく威嚇する猫の姿には、大人の男といえども気圧されるものがある。
- 格闘技では、技術以前に、相手に気圧されては負けだ。「必ず勝つ」という気概でリングに上がれ。
「気圧される」の類語
圧倒される
「圧倒」(あっとう)とは、「相手を押し倒すこと」や「段違いの力で他をおさえつけること」という意味です。
物理的な力についても使いますが、雰囲気や勢いなど実体がないものにも使えますので、「(雰囲気に)圧倒される」とすれば、「気圧される」と同じように使えるでしょう。
【例文】
- 初めてエアーズロックを見て、その異様さに圧倒された。
- 努力では負けていないつもりだったが、その少女のヴァイオリンの才能には圧倒された。
プレッシャーを感じる
「プレッシャー」とは、英単語「pressure」に由来し、「圧力」や「重圧感」の意味です。特にカタカナ語では「物理的な力」と言うより「精神や気分に作用する力」のイメージが強く、「気圧される」のイメージに近いでしょう。
英語の「pressure」も、動詞で「強要する」という意味を持っており、日本語とかなり近い意味といえます。
ただし、「プレッシャー」は「そうするように促す」という前向きな意味もあり、「気圧される」とは少々使い方が異なる部分もあります。
【例文】
- 「今度ミスしたら、ただじゃおかないからな」と言う同僚に、彼はプレッシャーを感じた。
- 対戦相手が放つプレッシャーに、新人選手は及び腰だった。
「気圧される」を英語で言うと?
「気圧される」を英語で言いたい場合は、類語としてもご紹介した「pressure」(押すこと、圧力)がもっとも直感的でわかりやすいでしょう。
ただし、「気圧される」は受け身ですから、英語の場合も「~ is pressurerd by ~」という受身形を覚えておきましょう。
他に、「feel overawed」(威圧されたのを感じる≒気圧される)などでも可です。
例文
- He was so pressured by his boss's words that he could only stand there in silence.(彼は上司の言葉に気圧されて、ただ黙って立っていることしかできなかった)
- She felt overawed by the atmosphere of the venue.(彼女は会場の雰囲気に気圧されていた)