「意思疎通を図る」とは
「意思疎通を図る」とは、簡単に言えば「考えていることを相手に伝えて、理解してもらえるよう努めること」です。会議やミーティングなどで聞いたことがある、という方も多いかもしれません。
ビジネスシーンなどにおける具体的な解釈としては、「物事の実現や、目的を達成するために、情報を共有をして、意思統一をしようと努力する」といった意味合いです。
ニュアンスをはっきりと掴むために、「意思疎通を図る」を細かく分けて、それぞれの意味をみていきましょう。
「意思」「疎通」
「意思」とは、「何かをしようとする際の根源となる気持ち」という意味です。平たく言えば、「考え」や「思い」のことですね。
「疎通」は、「水が滞りなく通じる」という意味が派生し、ここでは「意見が支障なく相手に通じること」を表しています。
「図る」
「図る(はかる)」は、非常に多義的な言葉です。「くわだてる」といったややネガティブな意味もありますが、「意思疎通を図る」に否定的なニュアンスは含まれません。ここでは、「考えていることが実現するように努力する」という意味で用いられています。
「はかる」は同訓異字が多いですが、「測る」や「計る」は誤りですので混同しないように留意しましょう。
「意思疎通を図る」の使い方
「意思疎通を図る」は、人と人との相互理解を指して使うことがほとんどですが、やや堅苦しい印象を受けるかもしれません。
例文
- 察してもらうのではなく、きちんと言葉で意思疎通を図ることが大切だ。
- 明日は大事な試合がひかえている。意思疎通を図って万全の体制で臨もう。
- 先住民族と意思疎通を図るためには、言葉が理解できる通訳が必要だ。
- 両国は意思疎通を図ることもできず、対立が激化するばかりだ。
「意思疎通を図る」の類語
「コミュニケーションを図る」
「コミュニケーションを図る」とは、「地位や境遇が異なる人が、さまざまな方法により、自己の考えや感情を伝達しようとする」ことです。「お互いの考えを相手に伝えるためにやりとりをするさま」を表しています。
[例文]
- 日頃から隣近所とコミュニケーションを図り、災害時にも助け合える関係を築きましょう。
- 留学生とコミュニケーションを図るため、興味のあることについて英語で聞いてみた。
「相互理解を図る」
「相互理解を図る」とは、「お互いに自己の考えや思いを知ってもらおうとする」ことです。「コミュニケーションを図る」とほとんど同じ意味を持ちます。
[例文]
- 両国は相互理解を図って友好を深めていきました。
- 私たちはスポーツを通して相互理解を図りました。
「以心伝心」
「以心伝心」とは、「言葉をかわさなくても、心が通じ合うこと」です。また、仏教用語として、「仏法の教えを言葉でなく心で伝える」という意味ももっています。
「意思疎通を図る」「コミュニケーションを図る」という場合、言葉や文字、身振りなどさまざまな方法で相手に思いを伝えますね。一方で「以心伝心」は、そういったものを必要とせずとも、互いを理解していることを表します。
[例文]
- 彼とは幼い頃からの付き合いがあり、以心伝心の間柄です。
- 今日の試合の勝因は、選手の以心伝心の好プレーによるものです。
「意思」を使った言葉
【意思機関】
法人が行おうとする事柄や事案を決定する機関のこと。具体的には、株主総会や社員総会などの法人の議決機関のことを表しています。
[例文]今回の重要な案件は、意思機関である株主総会に諮らなければならない。
【意思表示】
自分の気持ちや考えを相手に示すこと。また、「契約の承諾など権利・義務に関する法律においても、効果を生じさせるために外部に示す行為」という意味ももっています。
[例文]