「膝を抱える」とは
落ち込んでしまったり、寂しくなってひとりで考え込んでいる時に膝を両腕で抱え込むことはありませんか?また、膝を両腕で抱え込んでいる人を見たことはありませんか?
「膝を抱える」は、このような様子から、「ひとりで寂しくしているさま。考え込んでいるさま」を意味する慣用表現です。
「膝を抱える」は、「膝」と「抱える」から構成されています。それぞれの持つ意味を見ていきましょう。
「膝」の意味
「膝」は、「ももとすねとの境にある関節部の前面部分」または、「座った際のももの上側にあたる部分」を指します。「膝を崩す」や「膝を交える」など「膝」を用いたさまざまな言葉があります。
「抱える」の意味
「抱える」は、たくさんの意味を持っています。大きく分けると次のようになります。「膝を抱える」の「抱える」は、この1の意味です。
- 物を囲むように腕を回して持つ。腕に抱くようにして持つ。(膝を抱えるようにして座る)
- 自分の負担になるもの。世話をしなければならないものを自分で引き受ける。(多くの借金を抱える)
- 人を雇う。(多くのお手伝いを抱える)
- まわりを囲む。(湾を抱える地形)
- かばう。保護する。
- 維持する。
「膝を抱える」の使い方
- 一回戦で敗退をしてしまった。自らの責任を感じて今は膝を抱えるばかりです。
- 長男は自分の部屋に閉じこもって膝を抱えている。
- 膝を抱えて悩んでいることよりも前を向いて取り組むことが大切です。
- 彼は膝を抱えるようなことはやめてすっかり立ち直りました。
「膝を抱える」の類語
「両膝に顔をうずめる」
「両膝に顔をうずめる」とは、「ひどく悲しんだり、深々と嘆く様子」を表現しています。悲しみや嘆きを顔には出さず、両腕で膝を抱えるさまが似通っています。
[例文]
- 彼女はあまりの悲しみに両膝に顔をうずめるばかりであった。
- 私は親友の訃報を聞いて思わず両膝に顔をうずめてしまった。
「意気消沈」
「意気消沈」とは、「元気をなくすこと。しょげかえること」という意味です。「気力が萎えて元気をなくすさま」が類似しています。
[例文]
- 決勝戦で惜敗(せきはい:少しの差で負けること)を喫し、選手たちは意気消沈した。
- 意気消沈してないで、立ち直って元気を出そう。
「気落ちする」
「気落ちする」とは、「失望して気力をなくすこと」という意味です。「がっかりして力を落とすさま」を表現しています。がっかりしている様子からは寂しさも表れています。
[例文]
- 味方のエラーに気落ちしてしまった。
- 決勝戦を前にしての敗戦に気落ちしてしまった。
「膝」を用いた用語
「膝が笑う」
「膝が笑う」とは、「傾斜が急な山道を下る時などに、疲れて膝ががくがくすること」という意味です。「膝ががくがくしているさま」がまるで人が笑っている様子に似ているという比喩的な表現です。
[例文]
- 下山する際の長い下り坂で膝が笑ってしまった。
- やっと頂上を極めることができた。下山の道のりは疲れで膝が笑うことだろう。
「膝を交える」
「膝を交える」とは、「親しく同席して、うちとけて話し合う」という意味です。「膝と膝がすり合うくらい近くに寄るさま」から由来している表現です。
[例文]
- お互いいがみ合うのではなく、膝を交えて親しく話し合うことが大切です。
- オンラインでの話し合いよりも、膝を交えての話し合いに意義があります。
「膝を打つ」
「膝を打つ」とは、「急に思いついたり、感心したりする時の動作」という意味です。「膝をたたく」とも言います。感動や感心などにより自分の膝を思わずたたく動作が語源と言われています。
[例文]
- 彼のアイデアには思わず膝を打った。
- 彼女の用意周到な準備には膝を打つ思いです。
「膝を折る」
「膝を折る」とは、「膝を折り曲げ、かがんだり正座したりすること。または、相手に屈服する。頭を下げる」という意味です。
[例文]
- 彼には膝を折って謝罪するしかありません。
- 膝を折って依頼されてもできないことがあります。