「蚊帳の外」の意味
「蚊帳の外」(かやのそと)とは、ある物事に関われない立場にいることです。周囲から無視されて不公平な扱いを受けていることも表し、仲間はずれにされているとも言い換えられます。
「蚊帳の外」の語源
「蚊帳の外」の語源は、蚊帳(かや・”かちょう”や”ぶんちょう”とも読む)の内側に入らないように邪魔され、外で蚊に刺されている状況からきています。
「蚊帳」とは、寝ている間に害虫に刺されるのを防ぐ網目状の道具です。四隅を吊って寝具の上を覆い、蚊などの虫の侵入を防ぎます。
「蚊帳の外」の使い方
「蚊帳の外」は、当事者であるにも関わらず詳しい内容を知らされない場合、あるグループの話し合いに参加できなかったり、決定権を持たなかったりする時に使われます。ただし、その理由は状況によりけりです。
誰かを「蚊帳の外」にする理由
「蚊帳の外」は、しばしば悪意をもって誰かを仲間はずれにする様子を表します。例えば、その人が嫌いなのでわざと話題に参加させなかったり、計画に加えなかったりする場合です。いじめや嫌がらせなどの延長である場合もあります。
他の理由として、誰が悪いわけでもなく、一人だけ何らかの事情があって同じ話題の中に入れない、自分だけ物理的な要因(そこへ行けないなど)で催し物に参加できないなどの意味合いでも「蚊帳の外」が使われます。
さらに、周囲の人物の配慮であえて物事に関われないようにする目的で、当事者であっても「蚊帳の外」にされることもあります。例えば、年が若いなどの理由で重要な判断をさせるのが難しい場合や、本人にとって辛いと思われる状況に直面させるのを防ぐ場合などです。
「蚊帳の外」の例文
- 合併の話に口出しされると面倒ですから、会長を蚊帳の外にして話を進めましょう。
- 親知らずのせいで、楽しみにしていたイベントに不参加。自分一人、蚊帳の外でがっかりした。
- 自分はNintendoのSwitch(ゲーム機)を持っていないので、友人たちがゲームの話になると蚊帳の外に置かれてしまう。
- 主治医の父の病状の説明に立ち会えず、私一人が蚊帳の外だった。ショックを受けるのが心配だったと親族には説明された。
「蚊帳の外」の類語
爪弾き
「爪弾き」(つまはじき)は、相手を嫌って受け入れないことです。「爪弾き」は親指の腹に人差し指や中指の爪を当てて外に弾く動作です。相手に嫌悪感があること、軽蔑の気持ちがあることを表す仕草で、そこから「蚊帳の外」と似た意味で使われるようになりました。
「爪弾き」を「つまびき・つめびき」と読む場合は、琴・三味線などの弦楽器を指先で弾くように音を鳴らすという意味です。全く違う意味になるため、前後の文脈で楽器が出てきた場合には取り違えないよう注意が必要です。
【例文】
- 会社の同僚から爪弾きされ、転職を考えている。
- 琵琶を軽く爪弾いた。
除け者
「除け者」(のけもの)は、仲間はずれにされている人のことです。「除ける」(の-ける)は、物などをどかす、現在ある場所から他に移される、取りのぞくなどの意味があります。遠ざけられた人を表すことから、仲間内に入れられない人を指すようになりました。
【例文】
- 人と話が合わないのが原因で、クラス内で除け者にされている。
- バイト仲間で遊ぶ話があるようだが、私は除け者にされているので誘われることはないだろう。
村八分
誰かを仲間外れにして、必要最低限の付き合いに限定し、それ以外は絶交することを「村八分」(むらはちぶ)といいます。これは江戸時代からの習慣に由来し、村落などで決まりを破った家への制裁として、全村が申し合わせて付き合いを絶ったことからきています。
地域で決められている10の付き合いのうち8つを断り、残りの2つ、葬式の手伝いと火事の延焼を食い止めることだけ手伝うというところから、「村八分」となったといわれています。これらの2つの付き合いは、人の生死に関わることから制裁には入らなかったのです。
転じて、地域の中で特定の住民を仲間に入れずに無視したり、ある集団や団体の中で特定の人を除外したりする、いじめに近い行為を「村八分」ということもあります。同じ「仲間はずれ」でもでも、「蚊帳の外」より重苦しい雰囲気の言葉です。
【例文】
- 同じ地域でも、昔から住んでいる人が新興住宅地の住民に対して、村八分にすることがあるそうだ。
- 前に住んでいた所では、ゴミ出しのルールを守らない人を村八分にしているという噂があった。