「度が過ぎる」とは?
「度が過ぎる」は、(どがすぎる)と読みます。この言い回しを理解するために、「度」の意味から説明します。
「度」は、多義的な漢字ですが、そのほとんどの意味が数やレベルに関係します。代表的なものをいくつか挙げてみましょう。①物事のほどあい、程度、限界。②回数。③数量、程度などの単位。「度が過ぎる」の「度」は、①の意味によるものです。
つまり、「度が過ぎる」とは、普通の程度、水準をきわめて大きく超える(過ぎる)ことを意味する言い回しです。
「度を過ぎる」の使い方
「度が過ぎる」を使う時に、もっとも注意すべき点は、すべてネガティブな意味で使われるということです。辞書上では、たんに「水準を大きく超える」意味であり、良い意味か悪い意味かという定義づけはありません。しかし、「度が過ぎる」を誉め言葉として使うことはできません。
IQがずばぬけて高い人に対して、「あなたのIQは度が過ぎていますね!」などと言えば、気を悪くされてしまうでしょう。「度が過ぎる」は、普通の範囲を越えてしまって困ったものだ、それはやりすぎというものだという意味で使う表現です。
「度が過ぎる」の文例
- 親の子どもに対する愛情も、度が過ぎると過干渉になりかねないので、注意が必要だ。
- 先輩に親しみを持つのはいいが、君のそれは度が過ぎた馴れ馴れしいものになっているよ。
- 他者に対する度が過ぎる冗談は、イジメにもなりかねず、相手に心の傷を与えることもある。
- 礼儀正しさも、度が過ぎれば他人行儀のような温かみのない対応になりかねない。
「度が過ぎる」の類語
「度を越える」の意味と使い方
「度を越える」(どをこえる)は、「度が過ぎる」とまったく同じ意味を持つ言い回しです。普通の程度を大きく超える、というネガティブな意味を持ちます。
【文例】度を越えた筋力トレーニングは、結局のところ身体を損なうことが多い。
「悪乗りする」の意味と使い方
「悪乗りする」(わるのりする)は、しばしば「悪ノリ」と表記されるように、現代になってから生まれた言葉で、次第に誰もが使うようになりました。
「ノリノリで~する」などのように、気持ちやテンションがアップする「ノリ」の程度が過ぎてしまっているという意味で使われます。
「度が過ぎる」は「~の度がすぎる」という形で使いますが、「悪乗りする」は「悪乗りして~する」という形で使うことが一般的です。
【文例】酔っぱらって気が大きくなった中村君は、悪乗りして上司にからみはじめた。
「やり過ぎる」の意味と使い方
「やり過ぎる」も、「度が過ぎる」とほぼ同じ意味で使われます。つまりは、なんらかの対象についてやることの度が過ぎるという意味です。
「やり過ぎる」は、「~をやる」と言い換えることができるものを対象としますので、「度を過ぎる」に比べると、使い道の幅は狭くなります。たとえば、「冗談の度が過ぎる」とは言えますが、「冗談をやり過ぎる」とは言えません。
「冗談」について、「やり過ぎる」で表現するならば、「君は担任に冗談ばかり言っているね。ちょっとやり過ぎじゃないの?」などと、前に置かれた文脈を受けて用いるような工夫が必要です。
【文例】
- あなたは、いつも練習をやり過ぎるから怪我も多いのだと思うわ。
- ずる休みをした生徒を2時間叱責したって?それはやり過ぎだよ。
「過ぎたるは(なお)及ばざるがごとし」の意味と使い方
「過ぎたるは(なお)及ばざるがごとし」(すぎたるは[なお]およばざるがごとし)ということわざがあります。「及ばない」というのは、「足りない。届かない。レベルが低い」などのネガティブな意味の言葉です。
「過ぎる」には、「多い。十分にある」というポジティブな面を含む場合もあります。しかし、「度が過ぎる」で用いられるように、「通常のレベルを超え過ぎる」というネガティブなニュアンスのほうが強い言葉と言えます。
その意味から、「過ぎたるは及ばざるがごとし」は、「どんなことであれ、やり過ぎること、多すぎることは、不足することと同じようによくない」という意味で用いられます。
【文例】ピアノの練習をし過ぎて、指を痛めたそうだね。過ぎたるは及ばざるがごとしだよ。