「長い目で見る」とは
「長い目で見る」とは、「今の状態だけで物事を判断せずに、将来に向けて気長に見る。長期的にとらえる」いうことを表す慣用句です。
「長い目」は、「長期的な視点。気長に待つ」という時間的な意味を持ちます。また、「目で見る」には「見守る」という意味が込められています。
「長い目で見る」の使い方
「長い目で見る」は、目の前の失敗などから早急に判断をせず、長期的な視点で物事をとらえる、というイメージです。将来に多少の期待を抱くようなニュアンスが含まれる場合もあります。
例文
- 感染症の拡大によって停滞した経済の動向は、より長い目で見る必要がありそうだ。
- 荒削りなところも多いが、彼はセンスがあるから長い目で見てやってほしい。
- 今回の設備更新には莫大なコストがかかったが、長い目で見れば必ずわが社に利益をもたらすはずだ。
- ボランティアなどの社会貢献活動を行うことは、長い目で見て企業活動のプラスになる。
- 子どもの発達や成長は、ほかの子と比較せず、長い目で見るように心がけよう。
「長い目で見る」の類語
「辛抱強く待つ」
「辛抱強く待つ」とは、「苦しいことに耐えて、がまんすること」です。「長い目で見る」と同じように「将来の成果・成長を見守る」という場合にも使いますが、単に「つらさや苦しさをこらえながら時間の経過を待つ」という場合にも使います。
【例文】
- 到着が遅れている電車を、強風吹き荒れるホームで辛抱強く待っていた。
- 不況で業績が悪化するなか、経営陣はこれまでの経営努力の成果が表れるのを辛抱強く待った。
「長期的展望に立つ」
「長期的展望に立つ」とは、「様々な事象を検討・分析し、長く将来を見通す」という意味です。「展望」は、ここでは「社会の動向などを広く見渡すこと」を表します。
「長い目で見る」の「気長に待つ」に比べると、やや積極的な印象があるでしょう。この部分で、少しニュアンスの違いが感じられます。
【例文】
- 長期的展望に立った経営戦略を持っておかなければ、厳しい経済社会では生き残れないだろう。
- 住宅ローンに教育資金、介護など、長期的展望に立った生活設計をしておくとよい。
「目先のことにこだわらない」
「目先のことにこだわらない」とは、「目の前にある物事に執着(しゅうちゃく)しない」ことです。具体的な物事を当てはめ、「目先の○○に~」と使う場合もあります。
現在の状態や物事ばかり考えていると、将来を見通すことが難しくなってしまうかもしれません。未来を開くには、視野を広げてみることも大切でしょう。
【例文】
- 囲碁や将棋は、目先のことにこだわらない大局観(たいきょくかん)と忍耐が勝敗を決めるといっても過言ではない。
- 目先の利益にこだわらない経営方針を貫いたことで、今では世界を代表する企業に成長した。
「目」を使った慣用句
慣用句には、体の部位を使ったものがたくさんあります。ここでは「目」を使ったものをいくつかご紹介ます。
「大目に見る」
「大目に見る」は、「少しぐらいの失敗や間違いがあっても、厳しく叱らない」ということで、寛容(かんよう)な態度や心持を指す言葉です。
【例文】
- 課長は、部下の多少のミスは大目に見る人だけど、それにも限度があるからね。
- 君は新人だし、ルールを十分理解していなかったのだから、今回のことは大目に見よう。
「白い目で見る」
「白い目で見る」とは、「冷たい目つきで見る。悪意や憎しみの感情がこもった目で見る」ということを意味しています。同じ意味で「白眼視(はくがんし)」「白眼(しろまなこ)」があります。ただ「白眼」はあまり使われていません。
【例文】
- 彼は、金の亡者だと周りの人たちから白い目で見られていた。
- 欧米では、いまだに有色人種を白眼視する人が多い。
「目をかける(目を掛ける)」
「目をかける(目を掛ける)」には、「贔屓(ひいき)にする。気に入る」という意味があります。
「贔屓」と聞くと、不公平な印象があるかもしれません。しかし、家柄や血筋、容姿などではなく、本人の能力や才能で目をかけられることは悪いことではないでしょう。
【例文】
- イケメンのA君は、上司のB女史に目をかけられて、用もないのに呼ばれるのでいつも困っている。
- 足軽時代から、織田信長が目をかけていた豊臣秀吉は、信長の死後、天下を統一した。