「これいかに」とは?
意味
「これいかに」とは、「これはどうだろうか」「これはいかがなものだろうか」という意味の言い回しです。漢字では、「是如何に」と書きます。
「是」+「如何に」
「これ(是)」は日常会話でもおなじみの指示語であり、「直前、もしくはまさに今」話題にしている物事のことです。「これ取って」の「これ」ですね。(「之」「此」「惟」という字もあります)
一方の「いかに(如何に)」は、ある状態を疑い問いかける言葉であり、特に原因(どうして、なぜ)と程度(どんなにか、どれほど)を両方問うニュアンスを含んでいることが特徴です。
以上の説明から「これいかに」は、直前もしくは今まさに話題にしている物事を「これ」と指し示して、その状態について「どうなのか?」「なぜこうなのか?」などと問いかけていることがわかりますね。
「これいかに」の使い方
「これいかに」を使うにあたっては、「〇〇とは、これいかに」と、指示内容を「~とは」で直前に言い表す形がよく用いられます。
指示したものの状態に対して疑義を呈する目的で使うのが基本ですので、「これいかに?」と疑問符をつけるのも良いでしょう。
「これいかに」は少々古風で芝居がかった響きがある一方で、手軽にかつ面白おかしく問題提起ができる便利な言い回しとして、日常会話からインターネット上のSNSまで、多くの人に使用されています。
注意点①:疑問文というよりは感嘆表現
「これいかに」は汎用的に使える表現ですが、誰かに向ける疑問文としては「言いっぱなし」の感があります。例えば、「これはどうでしょうか?」と敬語で尋ねる場合に比べると、明らかに敬意を欠く印象です。
「これいかに」は対話を前提とした純粋な疑問文というよりは、「ああ、これはなんとおかしなことか」「いったいどうなっているんだ?」という感嘆表現の一種として捉えたほうが適切です。
したがって、ビジネス関係は当然として、目上の人に「これいかに」と投げかけることは避けたほうが良いでしょう。
注意点②:問題内容を詳しく言及しないことがある
前項の注意点とも関連しますが、「これいかに」だけでは、文脈にもよりますが、どこに問題があるのか・何が問題なのかを詳細に言及しない場合がある点に気を付けましょう。
すなわち、「これいかに」だけで話を終わらせてしまうと、指摘するだけで自分自身はその話題に深くコミット(関与)する気がない、少々無責任な印象を相手に与えてしまう場合があるのです。
「これからこれの何が問題なのかを言及する」という話の導入、もしくは「みんなもおかしいと思うだろう?」という周囲への呼びかけが、「これいかに」の主な役割であると考えましょう。
例文
- 晴れているのに雨が降るとは、これいかに?
- 「馬から落馬する」とはこれいかに。私は「頭痛が痛い」よ。
- 「私は文学には詳しいぞ」と豪語しておきながら、夏目漱石の名も知らぬとはこれいかに。
- 筋肉をつけたくてジムに通い始め半年が経ったが、未だに軽量クラスのバーベルが上げられない。これいかに。
「これいかに」を英語で言うと?
「これいかに」を英語で言いたい場合は、「how is it(this)?」とするのがよいでしょう。
「how」は「どのような」「どのくらい」の意味のほか、「まあ、なんと~」という感嘆文にも使われますので「いかに」のニュアンスにぴったりです。
「〇〇とは、これいかに」としたい場合はthat節を活用するのが基本です。
例文
- How is it that I go to the sea every day and still have no fish?(毎日海に通い詰めて、未だ釣果なしとはこれいかに?)
- How is this liar says "don't lie" ?(嘘つきが「嘘をつくな」とはこれいかに?)