「下卑た」とは?
「下卑た」は、「げび・た」と読みます。動詞「下卑る」の連用形「下卑」に助動詞の「た」がついた言い回しです。
「下卑た」の意味は、「下品な、卑しい」です。この漢字二文字を見れば、言葉自体を知らなくてもイメージしやすいのではないでしょうか。人としてのふるまいや言動などが品なく、みっともなく、意地汚い場合などに使われます。
なお、「下卑た」は、「走った」「見た」のような、動詞の過去形ではないことに注意しましょう。
「下」の意味
「下」は、音読みが(か、げ)。訓読みが(した、しも、もと、さ・げる、くだ・す、お・ろす)などです。
大きくわけて3つの意味を持ちますが、そのうちの1つである、「下、後ろ、身分やレベルが低いこと」という意味のうち、「レベルが低い」が、「下卑た」の「下」の意味に該当します。この意味では、「下品」や「下劣」「下世話」などたくさんの言葉があります。
「卑」の意味
「卑」は、音読みが(ひ)、訓読みが(いや・しい、いや・しむ、いや・しめる)です。意味は、「①(地位や身分が)低い、卑しい。(心が)卑しい、下品な。②蔑む、卑しめる。③自分の謙称。④身近な」などがあります。
このうち、「下卑た」の「卑」は、①の意味が該当します。この意味では、「卑屈」「卑俗」「卑劣」などたくさん存在します。
「下卑た」の使い方
「下卑た」は、他者に対して使うにはきわめて侮蔑的な表現です。また、「卑しい」には、身分や階級が低いという意味も含まれていて差別的な発言となる場合もあり、くれぐれも慎重に使いたいものです。
「下卑た」のあとに対象とされる言葉が置かれ、その言葉を修飾する形で使われます。
「下卑た」の文例
- 昨今のテレビ番組には、下卑た笑いの押し売りのようなバラエティが増えてしまった。
- 我が家はたいそう貧しかったが、両親は決して下卑たふるまいをせず、清貧を貫いた。
「卑下」の意味と使い方
「下」と「卑」という同じ二文字で構成されている「卑下」は、(ひげ)と読みます。こちらの言葉のほうが、「下卑た」よりも見聞きする頻度が多いはずです。「自己卑下」「卑下する」など、会話でも文章でも頻繁に登場しますね。
「卑下」は、2つの意味を持ちます。「①自分を他者より劣るとみなし、軽んじること。へりくだること。②卑しめ、見下すこと」です。現代の言葉としては、ほぼ①の意味で用いられています。
「卑下」に比べると馴染みがない言葉に「卑下る」があります。意味は、「卑下」と同じですが、この形で用いられることはほぼなく、「自分を卑下する」という言い回しが一般的です。
「下卑た」の類語
「下劣な」の意味と使い方
「下劣」(げれつ)とは、人間性や行動、態度などが下品で卑しいこと、品性が卑しく下等であることを意味する言葉です。「下卑た」と同様、きわめて侮蔑的な意味の強い言葉なので、他者に不用意に投げかけないようにしましょう。
ただし、かなり古びた軽口ですが、「お下劣ね!」と相手をからかう女性言葉がありました。こちらは、親しい仲のジョーク半分ということろでしょうか。
【文例】
鈴木君は、金儲けのためなら手段を選ばない、実に下劣な生き方をしてきた。
「卑俗な」の意味と使い方
「卑俗な」(ひぞく・な)は、次の2つの意味を持つ言葉です。現代日本語では、①の意味で使われるのがほとんどです。
- 下品で卑しい、品性なく俗っぽい。
- 田舎びている。
【文例】
山田氏は、豪快で人情ある男なのだが、卑俗な話やジョークが好きすぎるので、なかなか人に紹介しづらい。