「念頭に置く」の意味
「念頭に置く」は、「おぼえていて心にかける」という意味があります。簡単に言うと「忘れずに常に心掛けておくこと」です。「念頭」の意味は、「心・心のうち」なので「心に置いておく」というニュアンスになるわけです。
「念頭に置く」の使い方
「念頭に置く」は、ビジネスシーンにおいてよく利用される慣用句です。口頭でもそうですが、手紙やメールの文章でも見かけることがあります。
また、最近よく見られる「念頭に入れる」という言い回しは、辞書によっては掲載しているものもありますが、現時点ではほとんどの辞書が掲載しておらず、一般化していませんので注意する必要があります。
例文
- 「部長は、生の魚が苦手だということを念頭に置いて店選びをするように」というお達しがあった。
- 試験会場は、暖房が利きにくいことを念頭に置いて暖かい恰好をして行くことにした。
- 論文発表当日は、沢山の人が来ることを念頭に置いて緊張をほぐす方法を考えておいた。
- 最近のスポーツジムは、高齢者の利用が多いことを念頭に入れて太極拳などのレッスンが増えている。
「念頭に置く」の類語
「頭に入れる」
ビジネスシーンにおいて、「スケジュールを頭に入れておくように」とか「手順を頭に入れておくように」ということはよく聞きますよね。「頭に入れる」は、「よく理解して、しっかり覚えておくこと」という意味があります。「念頭に置く」とは意味も近く混同しやすい言葉です。
【例文】
- 「目的地までの道順は頭に入っているのでカーナビは必要ないよ」と彼は自信満々に言ってのけた。
- 「この機械は後々多用することになるので操作手順はよく頭に入れておくように」と会社側から説明があった。
- 「納期は明後日だということを頭に入れて仕事に取り組むように」と上司から発破(はっぱ)をかけられた。
「肝に銘じる」
「肝に銘じる」は、「心に強く刻みこみ忘れないようにする」という意味があります。「肝」とは「肝臓」のことで、臓器の中でも大切な役割を担う場所です。そこから「肝」とは「大切な部分」という意味合いを持っています。
「この話の肝は」「この料理の肝は」といった言い回しなど、何気なく使っていますが、由来は「肝臓」にあるのです。また「銘じる」は、「心や記憶にしっかりと刻み込む」という意味を持ちます。
また、「肝に命じる」という表記を見かけますが、こちらの「命じる」は、「言い聞かせる」という意味なので「肝臓に言い聞かせる=戒める」と一見通じてしまいそうですが、間違いですので注意しましょう。
【例文】
- ゼミの教授から授かった言葉を肝に銘じて社会人として立派に過ごそうと思っている。
- 過去に犯した失敗を二度と繰り返さないと肝に銘じて真面目に仕事をしている。
- 社長の話を肝に銘じてこの会社に貢献しようと考えなおした。
「心に留める」
「心に留める」とは、「いつも意識して忘れないようにしておく」という意味です。「留める」には「とめる(停止させる・固定する)」と「とどめる(意識をむける・滞在させる)」という読み方がありますが、特に明確な決まりはなく、辞書や文献にも両方が使用されています。
【例文】
- 今の私があるのは彼女の助けのお陰であることを心に留めて頑張っていきたい。
- 大学に合格できたのはもちろん君の努力の賜物だが、周囲の助けがあったことを心に留めておいてほしい。
- 偉人の言葉を心に留めて社会人生活の役に立てていこうと思う。