「至難の業」の意味
「至難の業」は「しなんのわざ」と読みます。「至難」とは「この上なく難しいこと」、「業」は「深い意味のある行為・行い・仕事」などの意味があります。つまり「至難の業」は、「実現することがこの上なく難しい行為」を指す言葉です。
「至難の技」は誤用か
「至難の業」は、「至難の技」と書かれることがあります。どちらが正しいか理解するためには、「業」と「技」の違いを把握する必要があります。「技」は、「ある物事を行うための一定の方法・手段・技術」のことで「技を磨く」や「足技」というように使います。
一方の「業」は、「仕事・行為・所業」という意味があり、「技を使って起こす行動」が「業」です。「神業」「早業」のように使います。したがって、「至難のワザ」は、実現することが難しい「行為」を指すため「至難の業」と表記します。
ネット上では「至難の技」で記載されている記事が多く見られるのも事実です。しかし、平成26年2月21日付け文化審議会国語分科会の『「異字同訓」の漢字の使い分け例(報告)』によると「至難の業」とされています。
「至難の業」の使い方
【例文】
- 野球選手にとって40歳を過ぎてなおコンディションをキープするのは至難の業である。
- たった半年で偏差値を30近く上げるのは至難の業であり、特別な勉強法が必要になる。
- 年老いてから何か新しいことを始め、究めることは至難の業だが挑戦する価値はある。
- ただの一般人がエベレスト登頂に挑むのは至難の業というよりも無謀と言える。
「至難の業」の類語
「不可能に近い」
「実現することが極めて難しい」ということは、「ほぼ不可能・不可能に近い」という意味にも取れます。「不可能」だけでは完全に出来ないという意味になってしまうので、それに近い状態を指す「不可能に近い」を使うと「至難の業」の類語になります。
【例文】
- 期末テストで赤点を取らないのは不可能に近いが、やれるだけやってみようと思う。
- 今から1時間で有楽町に行くのは不可能に近いので、集合時間をずらして欲しい。
- 受験まで1か月を切った今の時点で志望校に合格するのは不可能に近いことを察した。
「神業」
「神業(かみわざ)」は、「神の力でしか出来ないような素晴らしい技術」のことです。よくサッカーや野球などのスポーツにおいて、誰にも真似できないような秀逸なプレーが飛び出ることがあります。そういったプレーを「神業」と呼びます。
【例文】
- 今日の野球大会で相手の主将が神業とも言えるプレーで観客を魅了した。
- あんなに難しい資料作りを1日で終わらせてしまうなんて、彼女は神業を使ったに違いない。
- 彼に協調性を持たせることなど、神業でも使わないかぎり無理だ。
「至難の業」を英語で
「至難の業」を英語で表現するには「この上なく難しい」や「ほぼ不可能」と解釈すると表記しやすいでしょう。例えば「it is extremely difficult to~(~するのはとても難しい)」や「make~almost impossible(ほぼ不可能になった)」のように使えます。
【例文】
- In soccer,It is extremely difficult to catch up with the three points in the remaining five minutes.(訳:サッカーにおいて残り5分間で三点差を追いつくのは至難の業である。)
- Raising the TOEIC score by 300 points in a month is a very difficult feat.(訳:1か月でTOEICの点数を300点上げるなんて至難の業だ。)
- It is extremely difficult to persuade her to study English.(訳:彼女に英語を勉強するように仕向けるなんて至難の業だ。)