「累が及ぶ」の意味
「累が及ぶ」とは、「何かしらの悪い影響が自分の身に及ぶ」という意味があります。「累」には「かさねること・かさなり」という意味の他に「わずらい・まきぞえ」という意味があるため、「悪い・マイナスの」というニュアンスが含まれるのです。
「累が及ぶ」を「類が及ぶ」と表記するサイトもしくは著書を目にすることがありますが、これは誤字ですので注意しましょう。「類」は「仲間」という意味で、「類は友を呼ぶ」という慣用句があり、これと混同している可能性も考えられます。
「累が及ぶ」の使い方
- グループワークの課題において、1人の遅れが他のメンバーにまで累を及ぼすため一人ひとりが責任を持って行動する必要がある。
- 累が及んでからでは取返しが付かないので、彼とはある程度の距離を保った方が良いと思う。
- 私の失態によって上司にまで累が及んでいると聞き、私は頭が真っ白になってしまった。
「累が及ぶ」の類語
「巻き添えを食う」
「巻き添え(まきぞえ)を食う」とは、「(本人の意思に関係なく)他人の事件や事故に巻き込まれて損害を被ること」という意味です。
「巻き添え」とは、「傍杖(そばづえ:喧嘩の傍に立っていると思いもかけず打ち合う杖が自分に当たるさま。とばっちり)」のことで、「傍杖を食う」という慣用句も存在します。
「累が及ぶ」は、自分の意志で悪い影響を回避できる場合もありますが、「巻き添えを食う」は、偶然の要素が強く回避することが困難である場合が多い点では似て非なる慣用句です。
【例文】
- 今日は大切なプレゼンを控えていたのだが、交通事故の影響で渋滞の巻き添えを食らい大幅に遅刻してしまった。
- 高校の友人が喫煙をしていたため教師から厳重注意を受けていた。私は一緒にいただけなのに巻き添えを食らって注意されてしまった。
- 彼についてはあまり良い噂を聞かないから近寄らない方が得策だと思うよ。巻き添えを食らったら困るだろう。
「とばっちりを受ける」
「とばっちりを受ける」の「とばっちり(迸り)」とは、傍に居て水しぶきがかかる様子から「傍に居て禍(わざわい)がふりかかること」という意味があります。「累が及ぶ」と異なる点は、自分に全く非がなくても被害を被る可能性があるということです。
【例文】
- 友人同士が喧嘩をしていたので仲裁に入ったら、とばっちりを受けてしまった。
- 理科の実験中にメンバーがこぼした熱湯が私の手にかかり火傷を負ってしまった。とんだとばっちりを受けたよ。
- 機嫌の悪い教師に話しかけたがために逆ギレされたよ。とばっちりもいいとこだ。
「流れ弾に当たる」
「流れ弾(ながれだま)」とは、標的を外れて飛ぶ弾丸のことで、「流れ弾に当たる」は、「自分には関係ないことなのに被害を被る」という意味になります。
【例文】
- 全く予想出来ない場所からボールが飛んできて私の頭にヒットした。流れ弾に当たるとはこの事だ。
- 別れた旦那の借金を肩代わりすることになってしまった。まるで流れ弾に当たったような感覚になった。
「累が及ぶ」を英語で
「累が及ぶ」は、「悪い影響を受ける」と言い換えることが可能です。その場合は「be adversely affected by~」や「have a bad influence」が適しています。
【例文】
- My absence had a bad influence on the group and I'm thinking about how to apologize.(私が欠席したことによってグループの皆に累が及んでしまい、私はどのように謝罪すればよいか考えている。)
- He is smoking in hiding at school.You'd better keep away from him before he's adversely affected.(彼は学校で隠れて喫煙しているよ。累が及ぶ前に彼とは距離を置いた方がいいよ。)