「衝動に駆られる」とは?
「衝動に駆られる」(しょうどうにかられる)とは、「理屈のつけられない心の動きに追い立てられること、そうしなければならないと急かされること」という意味の表現です。
例えば、何がが「欲しい」という欲求があなたの中に生じたとします。あなたはどうしようもないほどにその欲求に突き動かされ、時には、なりふり構わない行動に走ることもあるかもしれません。それが「衝動に駆られる」状態です。
まずは、「衝動」と「駆られる」の言葉の意味をそれぞれ深めておきましょう。
衝動
「衝動」には、以下の二つの意味があります。
- 人の心や感覚を突き動かすこと。
- 反省や抑制なしに人を行動におもむかせる心の動き。
いずれの意味も心や感覚に関係しており、しかも、「突き動かす」「反省や抑制がない」というわけですから、本人の理性的なコントロールをほとんど離れてしまっている心の状態であると解釈できますね。
例えば、欲しいと思ったものをその場の感覚で打算なしに買ってしまう「衝動買い」などは、「衝動」が行為になって表れる典型的な例でしょう。
駆られる
「駆られる」は、動詞「駆る・駈る」(未然形)に、自発・受身を表す助動詞「~(ら)れる」がついた表現です。
「駆る」の意味は、「追い立てる」「走らせる、急がせる」など。特に、「~(ら)れる」がつく場合には、「感情や願望などが心を強くとらえる」という意味を持ちます。
「衝動」以外にも、「不安(な気持ち)に駆られる」「好奇心に駆られる」など、人は外部のさまざまな刺激に影響を受け、心をとらえられることがあります。
「衝動に駆られる」の使い方
「衝動に駆られる」を使うにあたっては、「~したい衝動に駆られる」のように、何らかの欲求・願望、あるいはそれと直結した行動・動作が伴うのが基本です。
そして、その欲求・願望は、「衝動」を成すに足る、「そうせずにはいられない」と形容できるようなものであるのがポイントです。理性的に判断される物事や、冷静な思考とは縁遠い言い回しといえますね。
なお、「駆られる」はひらがなでも構いませんが、まれに「刈られる」という誤表記が見られることがありますので、念のためご注意ください。
行為・動作としては「未然」
この言い回しを使う上でひとつ注意したいのは、「衝動に駆られる」段階は、あくまでも「駆られている」だけであり、実際にその「衝動」が行為・動作としては表出してはいない「未然」の状態である点です。
「衝動に駆られる」単体はあくまでも心の動きを表す言い回しであり、「~したい衝動に駆られたが、結局しなかった(我慢した、自制した)」という使い方も多くみられますので、押さえておきましょう。
例文
- 家庭内に不和を抱え、会社でもトラブル続き、親友とも喧嘩をした彼は、すべてを捨てて逃げ出してしまいたい衝動に駆られた。
- 彼女はかわいいものを目にすると、それが人であれ動物であれ、無機物でさえも、抱きしめてキスをしたいという衝動に駆られることがあると言う。
- 有名な霊媒師が大地震の予言をしたとき、その国の人々は衝動に駆られたように食料や生活雑貨を買いあさった。(※比喩的な使い方)
「衝動に駆られる」の類語表現
「衝動」は人間の心の動きのひとつであるため、以下のようにいくつかの類語表現や言い換えが可能です。
- 衝動に身を任せる
- 衝動に突き動かされる
- 衝動のままに行動する
- 一時の感情に流される
また、状況に応じて「衝動」を「感情」「心」「思い」としたり、具体的な感情(「怒り」など)に言葉を置き換えることも可能です。