「うつつを抜かす」とは?意味や使い方を例文でわかりやすく解説

「うつつを抜かす」という表現、日常生活で耳にしたことはありませんか?何かに夢中になりすぎて周りが見えなくなっている人を見かけたとき、つい使ってしまいがちなこの言葉。でも、実際にどんな意味で、どんな場面で使うのが適切なのか、詳しく知りたいと思いませんか?

うつつを抜かすとは?うつつを抜かすの意味

ある物事や人物に対して異常なほど熱中し、現実を忘れるほど没頭している状態を表す表現

うつつを抜かすの説明

「うつつを抜かす」は、「うつつ(現)」つまり現実や正気を「抜かす(失う)」という構成から成り立っています。この言葉が示すのは、単なる熱中ではなく、日常生活に支障が出るほどにのめり込んでいる様子。例えば、趣味に没頭して時間を忘れる、異性に夢中で他のことが手につかない、あるいは道徳的に問題のある行為に熱中するなど、多様なシーンで用いられます。特に周囲から見て「度が過ぎている」と感じられる場合に使われることが多く、やや批判的なニュアンスを含むことも特徴です。

何かに夢中になるのは素敵なことですが、ほどほどが大切ですね。現実と夢中のバランスをうまく取りながら、楽しい時間を過ごしたいものです。

うつつを抜かすの由来・語源

「うつつを抜かす」の語源は、仏教用語に由来します。「うつつ(現)」は「現実」や「正気」を意味し、もともと仏教では「現世」を表す言葉でした。一方、「抜かす」は「抜ける状態にする」「失う」という意味です。つまり、現実から意識が抜け出してしまう状態、正気を失うほど夢中になる様子を表現しています。中世頃から使われるようになったとされ、当初は「現を抜かす」と書かれていましたが、次第に「うつつを抜かす」という表記が定着しました。

何かに夢中になるのは素敵なことですが、時には現実とのバランスも大切にしたいですね。

うつつを抜かすの豆知識

面白いことに、「うつつを抜かす」は現代ではややネガティブなニュアンスで使われることが多いですが、江戸時代頃までは「夢中になることそのもの」を指す中立的な表現として用いられていました。また、地域によっては「うつつを抜かす」の代わりに「うつつを失う」という表現も使われますが、意味はほぼ同じです。さらに、この表現は若者言葉として「うつつ抜かし」と名詞化されて使われることもあり、言語の変化の面白さを感じさせます。

うつつを抜かすのエピソード・逸話

有名な小説家の夏目漱石は、執筆に「うつつを抜かす」ことでも知られていました。『吾輩は猫である』を執筆中、食事の時間も忘れて原稿に没頭し、家人が心配して声をかけても全く気づかないほどだったと言われています。また、現代では人気アーティストの米津玄師さんが音楽制作に没頭するあまり、数日間スタジオに籠もりきりになるというエピソードがあり、まさに「創作にうつつを抜かす」様子が窺えます。

うつつを抜かすの言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「うつつを抜かす」は和語(やまとことば)と漢語が融合した複合語です。「うつつ」は「現」という漢字の訓読みですが、本来の日本語にあった概念に漢字を当てはめたものと考えられます。また、この表現は自動詞的な用法が特徴で、対象を「に」格で示す(例:趣味にうつつを抜かす)点が興味深いです。歴史的には室町時代から文献に現れ、江戸時代にかけて使用頻度が増加しました。現代ではやや古風な表現として認識されつつも、依然として広く使われている持続性の高い慣用句です。

うつつを抜かすの例文

  • 1 新しいスマホゲームにはまってうつつを抜かし、気づいたら深夜3時になってたこと、ありますよね。
  • 2 好きなアーティストの新曲にうつつを抜かして、電車で聞いてたら降りる駅を完全に通り過ぎてしまった。
  • 3 ネットショッピングにうつつを抜かしているうちに、給料日前なのにカートがパンパンになっている現実に直面する。
  • 4 面白いドラマにはまってうつつを抜かし、一気見しようとしたら朝日が昇り始めていたなんて経験、誰にでもあるはず。
  • 5 SNSのスクロールにうつつを抜かして、いつの間にか2時間も経っていたというあるある、ついやってしまいますよね。

類語との使い分けポイント

「うつつを抜かす」にはいくつかの類語がありますが、微妙なニュアンスの違いがあります。適切に使い分けることで、より正確な表現が可能になります。

表現意味ニュアンス使用例
うつつを抜かす現実を忘れるほど夢中になるやや批判的、度が過ぎているゲームにうつつを抜かして勉強しない
夢中になる熱中する中立的、ポジティブもネガティブも読書に夢中で時間を忘れる
のめり込む深くはまる自然な没頭、ややポジティブ新しい趣味にのめり込む
血道を上げる異性や道楽に熱中する批判的、特に恋愛や道楽で彼女に血道を上げている

使用時の注意点

「うつつを抜かす」を使う際には、いくつかの重要な注意点があります。誤解を招かないよう、適切な文脈で使用することが大切です。

  • 基本的にネガティブなニュアンスを含むため、褒め言葉としては使えません
  • ビジネスシーンや公式な場では使用を避けた方が無難です
  • 対象となる事柄によっては、相手を傷つける可能性があります
  • 若者同士のカジュアルな会話では「うつつ抜かし」と名詞化して使われることもあります

言葉は使い方次第で刃にもなる。特に「うつつを抜かす」のような表現は、相手の熱意を否定することにもなりかねない

— 国語学者 金田一春彦

歴史的な変遷

「うつつを抜かす」は時代とともにその使われ方やニュアンスが変化してきました。平安時代から現代まで、この表現がどのように使われてきたかを振り返ります。

  1. 平安時代:仏教の影響で「現世」を意味する「うつつ」が使われ始める
  2. 室町時代:「うつつを抜かす」の表現が文献に初めて登場
  3. 江戸時代:庶民の間で広く使われるようになり、中立的な意味合いで使用
  4. 明治時代:夏目漱石などの文豪が作品で使用し、文学的な表現として定着
  5. 現代:やや古風な表現として認識されつつも、依然として広く使用

面白いことに、戦後から高度経済成長期にかけては、仕事に熱中する「企業戦士」を肯定的に表現する際にも使われましたが、現代では再びネガティブなニュアンスが強まっています。

よくある質問(FAQ)

「うつつを抜かす」と「夢中になる」の違いは何ですか?

「夢中になる」は単に熱中している状態を表すのに対し、「うつつを抜かす」は現実を忘れるほど度が過ぎた没頭を意味します。後者の方が程度が強く、やや否定的なニュアンスを含むことが特徴です。例えば、仕事を忘れるほどゲームに熱中する場合は「うつつを抜かす」が適切です。

「うつつを抜かす」は良い意味でも使えますか?

基本的には度を越した没頭を表すため、ネガティブな文脈で使われることが多いです。ただし、文脈によっては「芸術にうつつを抜かす」のように、ある種の賞賛を込めて使われることもあります。しかし、一般的には節度を欠いた状態を指す表現として理解されています。

「うつつ」とは具体的にどういう意味ですか?

「うつつ」は漢字で「現」と書き、現実や正気、平常心を意味します。仏教用語が由来で、現世を表す言葉でした。つまり「うつつを抜かす」とは、現実から意識が抜け出し、正気を失うほど熱中する状態を表現しています。

ビジネスシーンで使っても大丈夫ですか?

カジュアルな会話では問題ありませんが、公式なビジネス文書や改まった場では避けた方が無難です。なぜなら、この表現には「度を越している」という批判的なニュアンスが含まれるためです。代わりに「熱心に取り組む」「没頭する」などの表現が適切でしょう。

若者言葉としての使い方はありますか?

最近では「うつつ抜かし」と名詞化して使われることがあります。例えば「彼女、彼氏に完全にうつつ抜かし状態だよ」といった使い方です。SNSなどでは略して「うつ抜け」と言うこともありますが、これはよりカジュアルで若者特有の表現です。