「語弊がある」とは?
「語弊がある」の意味は、「言葉の使い方や表現が不適切で誤解を生じやすい言い方、そのような状況が引き起こされるさま」です。「語弊」という言葉を理解すれば、「語弊がある」もうまく使いこなせるので、まず「語弊」の詳しい意味を紹介していきます。
「語弊」の意味
「語弊」の「語」は、音読みが(ご)、訓読みが(かた・る、かた・らう)です。意味は、①「語る、話す、物語る」②「言葉、言葉づかい」、③「告げる、伝える」で、すべて話や言葉に関係する意味を持ちます。
「弊」は、音読みが(へい)、訓読みが(やぶ・れる、つい・える、つか・れる)です。意味は、①「害になる、悪い」、②「ぼろぼろになる、敗れる」で、語弊では①の意味で用いられています。
「語」と「弊」で構成される「語弊」は、つまり「言葉が適切でないこと。言語としての欠点」を意味する名詞です。
「語弊がある」の使い方
「語弊がある」の使い方において、もっともポイントとなるのは、話し手の言葉の使い方や伝え方が不十分であったり不適切であったりすることによって、聞き手に誤解をもたらす、あるいはその可能性があるという点です。
つまり、ある場面や会話で、「その言葉をチョイスすることが不適切なため、伝えたいことが正しく伝わらない。その言葉を用いたがために、相手に不要な誤解や異なる印象を与えてしまった」という状況を指す言い回しとなります。
「語弊がある」の文例
実際の用例としては、話し手が、自らの言葉の不適切さをあらかじめ「語弊があるかもしれないが」と相手に断わったうえであえて言うというような会話テクニックとなっている場合がほとんどです。
【例文】
- 彼の発言を悪意とするのは語弊があるかもしれないが、少なくとも不親切な言葉だ。
- こう言うと語弊があるだろうけれど、僕は彼女がとても好きだよ、友達としてね。
- ワーカーホリックと言うのに語弊があるなら、彼を仕事大好き人間と呼ぼう。
「語弊がある」と関連語の比較
「誤解がある」
「誤解」とは、「ある言葉や事実の真の意味を誤って解釈すること」を意味します。簡単に言えば、思い違いのことです。「語弊」が、話し手側の言葉づかいが不適切であるのに対し、「誤解」は、聞き手側が、言葉の意味や理解を誤ることを意味します。
上記の意味から、「誤解がある」は、「自分が言った言葉や示す事実を、相手に誤って理解される」という意味になります。
【例文】
- 好意で鈴木さんに忠告したのにけなしたと思われたなんて、大きな誤解があるよ。
- 山田さんのクレームにはところどころ誤解があるので、詳しい説明が必要だ。
「誤謬がある」
「誤謬(ごびゅう)」は、難しい言葉ですが、意味は「間違えること。その間違い」です。すなわち、「誤謬がある」とは、「間違えがある。誤りがある」という意味の言い回しで、語弊や誤解のような理解の問題ではなく、間違えそのものを指していることがポイントです。
【例文】
- 君の推測には、何点か大きな誤謬がある。
- 発表した論文の一部に誤謬があると担当教授から指摘された。