「意に介さない」の意味
「意に介さない」とは、「自分に対する批判や嫌な出来事を気にしない」とか、「相手の気持ち(考え)を心掛けない(考えない)」という意味です。
「意」には、「心・考え・気持ち」、「介する」には「こころがける・気にかける」という意味がそれぞれあるため、このような意味になります。
動詞「意に介す」の未然形「意に介さ」に、打ち消しの助動詞「ない」がついて「意に介さない」という言葉になります。また、動詞「意に介する」に「ない」がついた「意に介しない」という言葉もありますが、意味は同じです。
「意に介さない」の使い方
【例文】
- 彼のお父さんは周囲から運転免許証を返納するように勧められているが、意に介さない様子で運転を続けている。
- 教師からの再三に及ぶ注意にも彼女は意に介さず、教師もどうしたら良いのか困り果てている様子である。
- 彼は陰で色々な噂を流されているが、意に介さず堂々としている。なんてメンタルの強い男なんだ。
- どんなに注意をしても子供は意に介さないので、ついつい手を挙げてしまった。今では反省している。
「意に介さない」の類語
「相手にしない」
「相手にしない」には、「(自分に対する噂や悪評あるいは干渉を)全く気にかけないさま」という意味があります。また、噂や悪評などだけでなく、つまらない事柄や興味のない事柄を無視する際にも、「相手にしない」という言葉が使われます。
【例文】
- 彼の話は大抵が人のうわさ話で私を不快な気持ちにさせるので、これからは相手にしないと心に決めた。
- クレームをつけて来る客は、本音を言えば相手にしたくないが、接客・サービス業であるからには無視できない。
- 彼女は、周囲からのやっかみを相手にせず、自らの道を堂々と歩んでいる。
「事も無げに」
「事も無げに(こともなげに)」とは、「何事もないかのように平気な様子」という意味があります。また、「軽々と」などに置き換えられるように、簡単にやり遂げるという意味もあります。
【例文】
- 彼女は、上司からのパワハラなど事も無げに仕事で成果を挙げ、今では社内での立場が逆になっている。
- 周囲からのプレッシャーに対して、彼は事も無げに勉強し、一流大学に合格した。
- 事も無げに実験を成功させた私は、見事に周囲の見識者を黙らせることが出来た。
「しれっとする」
「しれっとする」は、「平然としている・素知らぬふりをしている」という意味があります。(悪評を)気にしないという意味の「意に介さない」にも通ずるところがあります。
現在では、全国的にも「しれっと」という言葉を使いますが、もともとは九州地方の方言であったとされています。「痴れっと」もしくは「白れっと」などと表記されることもあります。
【例文】
- あれだけ母親から罵声を浴びせられているのに、当の息子はしれっとした様子でその場に立っていた。
- 前に出て問題を解くように言われた彼は、しれっと答えを書いて席に戻って行った。
- 先生から教室を出ていくように言われた彼女は、しれっとした態度でその場をあとにした。
「意」を使った慣用句
「意に介さない」の他にも「意」を使った慣用句は色々存在します。その中のいくつかを紹介しましょう。
【例】
- 「意に沿わない(いにそわない)」:自分の意向や考えとは異なっていて不服である。
- 「意に反する(いにはんする)」:自分の意思や好みに合わない状況になっている様子。
- 「意を決して(いをけっして)」:意志を固めること・勇気をもって何かをすること。
- 「意を汲む(いをくむ)」:人の意見や考えを善意に察する。