「多分に」とは
「多分に」(たぶんに)は、形容動詞「多分だ」の連用形です。数量や程度が多いこと、たくさん、かなり、たいてい、おそらく、などの意味をもちます。
「多分」であれば、日常会話でも文章でも、あらゆる場面で頻繁に用いていることでしょう。「多分に」を深く理解するために、まずは「多分」を検証していきます。
「多分」は多義的な言葉です。名詞、形容動詞としては①金額や数量が多いことや、そのさま。多く、たくさん。②相当、かなりの程度。③大部分、多数。
副詞としては、おそらく、たいてい、という意味です。「多分に」は、それらの意味にそって、形容動詞、副詞として用いられます。
「多分に」の使い方
日常会話で、おそらく、という意味での「多分」は頻繁に登場します。「多分、~だろう」などと言うとき、アクセントはたぶんの「た」にありますね。
「多分に」となった場合、「た」にアクセントを置くことはなく、全体に強弱をつけずに発音する点に注意しましょう。
用法としては、一般的には、「おそらく」よりは「たくさん」「かなり」という意味で用いられることのほうが多いようです。
「おそらく~だ」という推量のニュアンスが含まれる使い方は、下記の文例の三番目に挙げてありますが、「多分に」の意味の区別はなかなか難しいものです。前後の文脈から、分量の多さなのか、推量なのかを判断するとよいでしょう。
「多分に」の文例
(A男)
うちの課の仕事には、多分に無駄な作業が含まれているように思うのだが。
(B子)
オリーブオイルには、健康にいい成分が多分に含まれているみたいなの。
(C男)
参加者が30人を越えなければバスツアーは実施されないのだが、多分に大丈夫だろうと思う。
定型的な言い回し
「多分にある」の意味と使い方
「多分にある」は、おそらくある、という意味で、定型的な言い回しとしてよく登場します。とはいえ、かなりある、という意味で用いられることも多々ありますので、やはり前後の文脈で判断することが必要です。
【文例】
- 営業ルートについて、業務改善案を提出するつもりだが、反対意見は多分にあるかもしれない。
- 部活の顧問をボランティアに委ねることは、責任意識が薄れる危険性が多分にある。
「御多分にもれず」の意味と使い方
「御多分にもれず」とは、ほかの多くの場合と同じように、という意味の言い回しです。用いる場合は、なにと同じような「御多分」であるかをきちんと示す必要があります。
【文例】
- 小学校から英語が授業に入ることとなり、多くの幼稚園が英語を教えるカリキュラムを組みだした。御多分にもれず、うちの幼稚園も検討中だ。
- この不況で、ボーナスを削減する企業が相次いでいるが、我が社も御多分にもれず、だ。
「多分に」の類語
「おおかた」の意味と使い方
「おおかた」(大方)は、名詞、副詞、形容動詞があり、それぞれに多義的な意味をもつ言葉です。「多分に」の類語としては、副詞としての①だいたい、多数、かなり。②たぶん、おそらく。③およそ、そもそも。などが該当します。
【文例】
- 提出された課題作品群のおおかたは、合格だと思ってよいでしょう。
- 鈴木君は、社員旅行に参加しないのかい?おおかた、そんなところだと思っていたよ。
「かなり」の意味と使い方
「かなり」(可成り、可也)は、形容動詞と副詞の二つの用法を持つ言葉です。書き言葉としては、漢字で記すことはまずなく、ひらがなで表記します。
形容動詞としては、相当の程度、あるいはそれ以上に達しているさま。副詞としては、相当、思った以上に、という意味で用いられます。
【形容動詞としての文例】今回のイベントは初の試みであったが、かなりな数の参加者があった。
【副詞としての文例】偶然見つけたレストランながら、かなり雰囲気も味もいい店で気に入った。