「後塵を拝する」とは?意味や使い方をご紹介

「後塵を拝する」という慣用句を見ると、なぜちりや埃をありがたく自分の身に受けるというのかと疑問に思うことはありませんか。言葉の意味どおりには取れず、何か裏があるような気がするでしょう。「後塵を拝する」という言葉の意味と使い方、文例を紹介します。

目次

  1. 後塵を拝するとは?
  2. 後塵を拝するの使い方
  3. 後塵を拝するの類語①他人に先を越される
  4. 後塵を拝するの類語②つき従う・媚びへつらう

後塵を拝するとは?

後塵を拝する」(読み:こうじんをはいする)という慣用句があります。文字通りの意味で受け取れば、「馬車などが通った後の土埃をありがたく受ける」となります。

この土埃を立てる馬車に乗っているのは身分や立場が上の人だと推察されます。なぜかと言うと、拝するという語句は謙譲語で、土埃を謹んで受けている様子や、頭を下げて馬車が去るのを見送る様子にも取れるからです。

しかし、本来は嫌なものである土埃をありがたがる姿には、皮肉や嫌味、自虐のニュアンスも感じられるでしょう。「後塵を拝する」は文字通りの意味ではありません。大きく2つに分けて見ていきましょう。

①他の人に先を越される

後塵を拝するとは、他の人に先を越されてしまうことを言います。具体的には、相手が自分より先に功績を挙げたり、自分を追い越して出世したりすることですね。また、自分よりも力ある人を羨やましく思うという意味もあります。

②つき従う・媚びへつらう

後塵を拝するは、権力者や立場が高い人や立派な人につき従うことをも指す言葉です。しかし、敬意から相手に従うだけでなく、見返りを期待して権力のある相手に媚びへつらっていること表すこともあります。

後塵を拝するの使い方

後塵を拝するは、日常会話ではあまり使われる機会はないかもしれません。どちらかと言うと小説などの書き言葉やドラマなどのセリフなどで使われることが多いでしょう。

使用文例

  • A君は優秀だが、後輩の後塵を拝することに悔しい気持ちが捨てきれない。
  • 近年、B社はシェアを大幅に広げ、当社は後塵を拝している。
  • 先生のような立派な方の後塵を拝するのは幸せなことだ。
  • 時代劇の悪徳商人は、悪代官の後塵を拝して善人を陥れようとする。

後塵を拝するの類語①他人に先を越される

遅れを取る・後れを取る

「遅れを取る・後れを取る」(読み:おくれをとる)とは、戦いや競争などをしている相手に先を越されて、こちら側が負けてしまうことを言います。

例:「大学の後輩に遅れを取って、彼の役職の方が上になってしまった。」

風下に立つ

「風下に立つ」(読み:かざしもにたつ)とは、他人の影響や支配の下にあることを表す慣用句です。つまり、他の人に先に立ち回られてしまったために、相手の勢力に押される立場になるということですね。

例:「小さな会社の経営者に過ぎなかったAさんの風下に立つとは思いもしなかった。」

後塵を拝するの類語②つき従う・媚びへつらう

お供をする

「供」はつき従うことや従者といういみですから、「お供をする」(読み:おともをする)は、身分が高い人や目上の人についていくことを言います。

つき従うという意味の言葉に「随行」がありますが、総理大臣など地位の高い人の重要な業務に同行するような場合に用いますので、「後塵を拝す」の類語としては大げさでしょう。

例:「会長のお供をして会議に出席した。」

お追従を言う

「お追従を言う」(読み:おついしょうをいう)は、媚びへつらって相手の喜ぶことを言うこと、相手が気に入るように歯の浮くような思ってもいないお世辞を言うことを意味します。

「追従」は、他人に付き従うことのほか、媚びへつらう・世辞などを指す言葉です。これに丁寧語の「お」を付けるわけですから、皮肉のニュアンスで使います。

例:「あの人はいつも社長にお追従を言っているね。」

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