「足をすくわれる」の意味
「足をすくわれる」とは、「相手に隙をつかれて痛い目を見ること」「卑劣な手段を使われて失敗させられること」を言います。
後述のように、「足元をすくわれる」と表記されることも多いですが誤用です。本来の使い方は「足をすくわれる」であり、国語辞典にも「足をすくわれる」と記載されていますが、調査によると近年では「足元をすくわれる」のほうが一般的によく使われています。
「足をすくわれる」の使い方
文化庁の「国語に関する世論調査」によると、誤用である「足元をすくわれる」を使う人が70%を越える一方、本来の使い方である「足をすくわれる」を使う人は16%程度にとどまっており一般的にはそれほど使われていないという結果が明らかになっています。
ケースバイケースではありますが、日常会話やリラックスした場面などでは、伝わりやすさを重視して、あえて誤用の「足元をすくわれる」を使うという選択肢もあるかもしれませんね。
【使用例】
- 足をすくわれないように、普段から注意しておかなければ。
- 調子に乗っていたら、いつか足をすくわれるぞ。
- あと一息で勝てたのに、足をすくわれて負けてしまった。
「足をすくわれる」の語源・由来
「足をすくわれる」は漢字で書くと「足を掬われる」となります。「掬う」には「下から持ち上げるようにして横に払う」という意味があります。隙を突かれて不覚を取った状況を「足を払われてバランスを崩される」様子になぞらえたのが「足をすくわれる」です。
このような語源・由来に鑑みると、誤用である「足元をすくわれる」には意味として違和感があることがわかります。あくまで「掬われる」のは「足」であって、「足元」ではありません。足元を掬ったところで、ただの空振りに終わってしまいますものね。
「足元をすくわれる」という誤用について
では、なぜ「足元をすくわれる」という誤用が広まったのでしょうか。はっきりとした理由は不明ですが、ひとつの説として「足元」を使った慣用句が多い点が挙げられます。
「足元にも及ばない」「足元を見る」「足元に火がつく」「足元が軽い」など、「足元」を使った慣用表現は、日常会話や新聞・雑誌・本などでよく見かけます。これらの表現と混同してしまったのかもしれません。
もっとも、言葉の意味や用法は時代によって変化します。かつては「誤用」と言われていた表現が、今では正しい用法として国語辞典に記載されるケースもあります。「足元をすくわれる」も、今後の状況によっては正用とされていく可能性があるかもしれませんね。
「足をすくわれる」の類語
隙を突かれる
「隙(すき)を突かれる」とは、「油断したところを攻められる」ことを言います。なお「隙」とは「物理的な空間・スペース」「心の中に生じた余裕・ゆとり」「空き時間」などを指す言葉です。
寝込みを襲われる
「寝込みを襲われる」は、思いもよらないところから攻撃されることを言う表現です。あたかも眠っている最中に襲われるかのような不意打ちに対して使います。
飼い犬に手を噛まれる
「飼い犬に手を噛まれる」とは、日頃から可愛がっていた者から、裏切られたり攻撃を受けたりすることを言います。なお、あくまで「主人と飼い犬」に似た関係性が成り立つ者同士で使う言葉ですので、目上の人や友人には基本的に使いません。