「御しやすい」とは?意味や使い方をご紹介

「御しやすい」とは、対象の人物を、自分の思い通りに扱いやすい、という意味の言葉です。人の言いなりになる人間が得てして「御しやすい」と称されます。つまり、他者から「都合のよい存在」と見られる人ですね。今回は「御しやすい」の意味と使い方をご紹介します。

目次

  1. 「御しやすい」とは?
  2. 「御しやすい」の使い方
  3. 「御しやすい」の類語
  4. まとめ

「御しやすい」とは?

「御しやすい」(ぎょしやすい)とは、相手を自分の思い通りに動かしやすいこと自分の都合がいいように動かしやすい、あるいはコントロールしやすいことを指す言葉です。

「御する」「~しやすい」の意味

「御しやすい」をさらに深く理解するために、「御する」「~しやすい」にわけて、それぞれの意味を検証していきます。

「御する」のもともとの意味は、馬や馬車を上手に扱い、乗りこなすことです。シンデレラが乗るカボチャの馬車を走らせる「御者」が、イメージしやすい例でしょう。馬車を扱うゆえに「御者」と称されます。

その元来の意味から派生したのが、他者を思い通りに動かし、コントロールするという用法です。「御しやすい」は、こちらの意味で「御」が用いられています。

「~しやすい」は、「する」+「易い」(やすい)が変形した言い回しです。「易い」は、簡単であることを意味します。つまり、「~しやすい」は、~することが簡単である、という意味の言い回しです。

「御しやすい」は、「御する」+「しやすい」が重なることによって、相手を思い通りに動かすことがたやすい、という意味を成します。

「御しやすい」の使い方

「御しやすい」は、必ずその対象となる人物が存在して成り立つ言い回しです。思い通りに扱いやすい人物とは、どのような存在でしょうか。

他者の思い通りになってしまう背景は、その人それぞれです。すべてを達観し、他者と争わない主義かもしれませんし、自信がなく、他者に依存している場合もあります。心の中では自分の意見や願いがあっても、他者に逆らうことが怖い人もいます。

上記のような人物には「御しやすい」を用いて違和感がありませんが、「御しやすい」対象として用い難い人間像があります。その一部を挙げてみましょう。

はっきりと自己主張ができる自信にあふれた人リーダー的素養がある人頑固で偏屈、他者の意見に耳を貸そうとしない人、などは「御しやすい」対象とはなりえません。

「御しやすい」の文例

(A男)

鈴木氏は、人生を達観しているのか、何を頼んでも何を言っても、たいていは泰然と受け入れてくれる。御しやすい人だけど、仙人のようで敬服するよ。

(B子)

由美子さんは、いつもおどおどしていて、まわりが言うことには何でも従う御しやすい女性よ。自分というものがどこにあるのか、心配になるわ。

(C男)

部下の小林君は、仕事を頼むと二つ返事で引き受けるし、どんな内容でも文句を言わない。御しやすいのだが、結局提出が間に合わなかったりするのだから、もっと自分を主張してほしいものだ。

「御しやすい」の類語

「手懐けやすい」の意味と使い方

「手懐けやすい」(てなずけやすい)の「手懐ける」は、①動物などをうまくなつかせる。②面倒を見るなど、さまざまな策を弄して、人を自分の味方に引き入れる。の二つの意味をもちます。

「御する」のそもそも意味が、馬の扱いに関してのことでもあり、「手懐けやすい」は、動物対象の①、人間多少の②の意味に「~やすい」がつくかたちで、双方とも「御しやすい」の類語です。
 

  • 足を怪我して保護された鹿を引き取ることにしたが、人への警戒心が薄れていたので、手懐けやすかった。
  • リーダーを失い、自信をなくした旧社長派の部長たちは、中村専務にとって、もはや手懐けやすい存在、とさえ言えた。

まとめ

「御しやすい人」と称されたとき、はたしてどのように評価されているのでしょうか。素直だと称賛されていると喜んではいけないニュアンスがあることに気づかねばなりません。

「他者にとって」都合がよい存在、自分をもたない人物、「猿もおだてりゃ木に登る」的なヨイショに弱いおめでたい人物、気が弱く他人にたやすくコントロールされる人物、などの侮蔑的な見方を多分に含んだ言い回しが「御しやすい」なのです。

他者への共感や自省の気持ちは大いにもちつつ、自分の意見、自分の存在をはっきりと示せるような「御しがたい」人間でありたいものです。

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