「手綱を握る」の意味
「手綱(たづな)を握る」には以下の3つの意味があります。
- 馬を制御する
- 抑制する
- 主導権を握る
ひとつひとつ順番に意味・使い方を見ていきましょう。
馬を制御する
「手綱」とは、馬の口にはめた轡(くつわ)から伸びた綱のことを指します。馬の走る速さや方向を調整するための道具です。
これを握っているわけですから、「手綱を握る」は馬が勝手に走り出さないように制御するという意味です。何かの動作を表すというよりも、支配下に置く、コントロール可能な状態にあるなど、状態や様子を表しています。「手綱を取る」という言い方もできます。
【使い方】
- 足は速いが気性の荒い馬なので、しっかりと手綱を握っていないと落馬しますよ。
抑制する
馬を制御することから転じて、「手綱を握る」は他人を抑制するという意味でも使われます。失言や悪事をしないように言動に注意し、気を引き締め、トラブルが起きないように操ることです。この意味の場合、一般には「手綱を締める」や「手綱を引き締める」と言います。
誰かが誰かを抑制するという意味ですので、基本的には上司が部下に使う言葉です。お飾りの上役を有能な側近がサポートしている場合にも使えますが、こちらは陰口や皮肉のたぐいです。
また、人間以外の事柄を制御することにも使うことがあります。例えば、「想像力の手綱を締める」であれば、あちらこちらへ思考が飛ぶのを抑えることです。
【使い方】
- 彼は、個性的なメンバーの手綱を握ることができる唯一の人物だと役員にも評判だ。
- 怒りに任せた暴言を言わないよう、心の手綱を握っていなければ。
主導権を握る
「手綱を握る」はまた、主導権を握ることも意味します。相手任せではなく、自分が主体的に進めていくことです。「イニシアチブを取る」ともいいます。
恋愛における「手綱を握る」はこちらの意味です。騎手が馬に振り回されないように手綱をしっかりと握り占めるのと同じで、相手に振り回されないようにすることです。文脈によっては、尻に敷く、浮気しないように見張る、のような意味も含みます。
【使い方】
- 彼はかなり自由な男だから、あなたがしっかり手綱を握れるかどうかが、付き合っていく上でのポイントになりそうね。
「手綱を握る」の類語
操縦する
人を都合良く操ることは「操縦する」ともいいます。「操縦する」は機械や乗り物を動かすことに使いますが、人間を思い通りにするという意味もあります。
似た言葉に「運転する」「操作する」などもあります。「運転する」は機械の他、事業や金銭管理などに使いますが、人には使いません。一方、「操作する」は機械の他、データや伝票、遺伝子などを自在に入れ替えるという意味もあり、人に対しても使うことがあります。
牛耳る
支配して思うままにすることは「牛耳を執る(ぎゅうじをとる)」ともいいます。略して「牛耳る(ぎゅうじる)」です。春秋戦国時代の中国で、同盟を結ぶにあたって牛の耳から血を飲んで誓いを立てたという故事に由来します。
制御する、支配するというよりは、独裁する、専制するに近い言葉です。複数人が集まった団体の中心人物になることなので、恋愛関係や一対一の状況には使用しません。
「手綱を握る」の英訳
「手綱」は英語で「rein」です。そして、英語の「rein」にも「(言葉や感情を)制御する・抑制する」という意味があります。
そのため、「手綱を握る」はそのまま、「rein tangue(言葉を慎む)」「tighten the rein(支配を強める)」などと表現することができます。
よりシンプルな表現にしたいのであれば、「under control(制御下にある)」はどうでしょう。人でも機械でも、暴走していないという意味で使えます。逆に「手綱を緩める」と言いたい場合には「free」を使います。