「仰々しい」とは?
「仰々しい(ぎょうぎょうしい)」は、大袈裟であること、場違いなほどものものしい雰囲気をもっていることを指す言葉です。厳めしさ、堅苦しさ、騒がしさを表す場合もあります。
この「仰」の字は、実は当て字であり、近世以降より用いられています。それ以前は、「希有希有(げうげう)」「凝凝(ぎょうぎょう)」などの字が用いられていました。
漢字「仰」の意味
「仰」という漢字には、「大袈裟」という意味があります。その文字が二つ重なっていることから、きわめて大袈裟であるというレベルがわかります。
「仰」には「あおぐ」という、上を見上げる動作を表す意味ももちますが、「仰々しい」という言葉に、「仰ぐ」意味は含まれません。
「仰々しい」の使い方
「仰々しい」という言葉には、否定的な意味が含まれるため、用いる時に注意が必要な場合があります。
人に対してはもちろんのこと、イベントや建造物などの感想として用いるさいにも、その関係者がこの言葉を耳にした場合、「大袈裟だ、その場にふさわしくないものものしさだ」という批判として受け止められてしまう可能性があります。
主観が入る点にも注意
さらに、「大きい」「美しい」「汚い」などは、比較的感覚が一般化されていますが、「仰々しい」という感覚にはかなり主観の成分が入ります。
例えば、ある役者の台詞まわしを「仰々しい」と感じる人もいれば、「堂々として立派」と感銘する人もいることでしょう。
文例を下記に挙げますが、これらの発言を、ご自身が対象とされている本人、もしくは関係者という立場で漏れ聞いた、と想像してみてはいかがでしょう。「仰々しい」の使い方には気をつけねば、と感じられるのではないでしょうか。
(A男)
今日の舞台の山場でのAの演技は仰々しかったなあ。シェークスピア劇じゃあるまいし、かえって感情移入できなかったよ。
(B子)
まだ結婚前とはいっても、彼に対するお父さんの態度は仰々しすぎるわよ。あれじゃあ、彼が我が家でくつろいでくれるわけないわ。
(C男)
いくら会社設立50周年の式典でも、オープニングで社歴を映像で紹介する演出には興ざめしたよ。長いわ、仰々しいわで。誰の企画かなあ。
(D子)
駅前広場の現代芸術っぽいモニュメント、なんだか大きくて仰々しくない?圧迫感があって、あそこで人と待ち合わせる気にならないのよね。
「仰々しい」の類語
「大袈裟」
「大袈裟(おおげさ)」とは、物事を実際よりも誇張して表現することです。袈裟とは、僧侶がまとう法衣のことです。
「大袈裟」の由来は、ある宗派の開祖が大きな袈裟をつけ、話も大きかったことによるという説もありますが、確実な説ではありません。とはいえ、大ぶりの仰々しい袈裟じたいが由来であるとはいえるでしょう。
実際の状態よりも誇張している点は「仰々しい」と重なりますが、異なる点もあります。「仰々しい」とくらべ、「大袈裟」は、はしゃぎすぎ、笑いすぎ、がんばりすぎ、などで度を超しているときにも使える表現です。
(A男)
道夫君の結婚式に高校の友人として出席したんだけど、一郎君のはしゃぎっぷりと感激っぷりが大袈裟すぎて、なんだかこっちが照れたよ。
(B子)
確かにマックス社はいい取引先ですが、最高級のフレンチレストランでの接待は大袈裟すぎませんか?
「誇大」
「誇大(こだい)」とは、何らかの物事を実際以上に大袈裟に、より素晴らしいものとして表現することです。
「仰々しい」との異なりは、結果として大袈裟になるというよりも、良さをかさ上げする意図が見えること。販売を伸ばすために、性能や効能を実際より良いものとして宣伝する「誇大広告」がいい例です。
(E男)
鈴木君は、社長の前に出ると、自分の活躍の話が大きくなるよね。あれは、誇大な自己宣伝だよ。