「人となり」とは?意味や使い方をご紹介

「人となり」は、人の生来の性質を意味する言葉です。人柄、人物像などと同様の意味ですが、「なり」という言葉がわかりづらいのではないでしょうか。少々あらたまった表現ですが、それだけに把握しておくと役立ちます。今回は「人となり」を類語も含めて紹介します。

目次

  1. 「人となり」とは?
  2. 「人となり」の使い方
  3. 「人となり」の類語と使い方
  4. 「人となり」と「人間」「人物」

「人となり」とは?

「人となり」とは、その人に生まれつき備わっている性質や人柄のことを指す言葉です。辞書的には、このように「生来の」という意味を含みますが、実際は、生まれ持った性質のみならず、現時点での「人物像」を指して使われることもあります。

「人となり」の由来

「人となり」の由来は、いにしえの中国の漢語「為人」で、「人と為る(ひととなる)」と訓読みします。この「為る」は、ある状態になる・物事を行うこと。古語の「為人」は「天性」や「体格」という意味も含まれていました。

「人となり」は、「為人」が年月を経て、「生まれつきの人柄・備わっている性質」という意味に転じたものです。漢語由来の言葉ということもあってあらたまった表現ではありますが、年配の人々の間などでは、いまだ会話によく登場します。

「生来」という背景があるだけに、単なる性格を越えて、全体的な人格とも言うべき幅広い捉え方のニュアンスを持つ言葉と言えましょう。

「人となり」の「と」について

「人となり」で誤解されやすいのが、「と」の存在です。並列助詞、すなわち「AとB」などのように使われる「と」と混同してしまうと、「その人とその身なり」のような意味と勘違いしてしまいます。

この場合の「と」は、変化した結果を表す格助詞で、「彼女は素晴らしいピアニストとなった」などの「と」と同じです。

「人となり」の使い方

「人となり」は、多く、「心の広い人となり」「威厳のある人となり」のようにポジティブな表現に用いられます。しかし、「ものぐさな人となり」のように好ましくない表現にも使うことができる言葉です。

「人となり」は、「○○な人となり」のように修飾語を伴うこともありますが、「人となりを知る」「人となりを慕う」のような用法もあります。

(A男)

僕が学生時代に闘病していた時に、親友の和夫がくれた手紙が出てきたんだ。読み直すと、あらためて彼の優しい人となりが身に染みるよ。

(B子)

うちのテニスサークルに真由美さんが入会したいみたいなのだけど、彼女の人となりを、ちょっと教えてくださる?

(C子)

あなたの声や話し方は本当に穏やかで、あなたの人となりがそのまま表れているように思えるわ。

「人となり」の類語と使い方

人柄

「人柄(ひとがら)」には、その人が備えている性質や品格、性格がよいことや品格があることという二つの意味があります。多くの場合、「人柄が良い」「立派な人柄」のようにポジティブな表現に用いられる言葉です。

【文例】三か月前にお見合いをした。なににもまして彼女の人柄を気に入ったので、現在交際中だ。

個性

「個性」は、個人や特定のものに備わった、固有の性質や特質のことです。「人となり」を「個性」と言い換えることはできますが、「個性溢れる作品」などの「個性」を「人となり」で言い換えることはできません。

【文例】彫刻には彫刻家の個性が、犯罪には犯罪者の個性が現れるものだ。

気質

「人となり」に類する「気質(きしつ)」の意味とは、言動に現れるその人に備わった性質や心の持ち方です。「気質」を「かたぎ」と読む場合は、「昔気質」や「職人気質」のように、ある身分や環境などにある人に特有の気性を指すので意味が異なります。

【文例】昨日、雅子さんが怒鳴っている姿を目撃して驚いた。意外と激しい気質なんだね。

性状

「性状」は、物の性質と状態、あるいは、人や物の性質と日々の行いを指す言葉です。「人となり」に類するのは後者の意味です。性質だけでなく、行状(品行や身持ち)も含む点は、「人となり」と少しニュアンスが異なります。

【文例】利夫くんは、他者と親しく付き合うのは一番嫌なことだと言ってはばからない、ちょっと変わった性状の男だ。

性質

「性質(せいしつ)」にはいくつか意味がありますが、「人となり」の類語となるのは、生まれ持った気質という意味です。小説などにおいては「性質」に「たち」というルビが振られることがあります。

【文例】山本部長は、親分肌で肝が据わった性質だから、やがては社長候補の1人になるかもしれないね。

「人となり」と「人間」「人物」

上でご紹介した類語のほかにも、使い方によっては「人となり」の類語的な意味をもつ言葉が、「人間」と「人物」です。

「彼は実に人間ができているから、町内会長に推薦するつもりだ」という場合の「人間」は、「人となり」と等しい意味で使われています。

同様に、「斎藤君の人物については、僕が保証しますよ。本当に誠実で有能な男です」というときの「人物」も、「人となり」に類する言葉です。

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