「協力を仰ぐ」とは?
「協力を仰ぐ」の意味
「協力を仰ぐ」は「助けを求めること」という意味です。相手に対して、協力してもらえないかどうかお願いをするというさまを表しています。「協力」「仰ぐ」、それぞれの言葉については後述します。
「協力を仰ぐ」の使い方
「協力を仰ぐ」は、協力を求める相手に対しても使われますが、誰かに協力を求めることを第三者に話すシーンで用いられることが多いようです。
- 彼はこのプロジェクトのために恩師の協力を仰いだ。
- 手が足りないから隣の部署に協力を仰ごうと思ったが、あっちも忙しそうだな。
- 我々の手にあまる。警察の協力を仰いだ方が良さそうだ。
- ぜひ、君たちの協力を仰ぎたいと思っている。
「協力」の意味
「協力」とは「ある目的に向かって力を合わせること」を意味です。一人ではなく複数で、力を合わせ、助け合うことを表しています。名詞として、または「協力する」というかたちで用いられます。
【使い方】
- あなたへの協力は惜しみません。なんでもお申し付けください。
- みんなで協力して文化祭を成功させよう。
「仰ぐ」の意味
「仰ぐ」はさまざまな意味を持つ言葉です。「協力を仰ぐ」というときの「仰ぐ」は「(目上の人や尊敬する人に)教示や援助を求める」という意味。このほかにも、「仰ぐ」には次のような意味があります。
- 「上を向いて高い所を見上げる」
- 「人を尊敬する」
- 「あおる。一息に飲み干す」
「教示や援助を求める」
上でご説明したとおり、「協力を仰ぐ」という言葉の「仰ぐ」は、「(目上の人や尊敬する人に)教示や援助を求める、恩恵を受ける」という意味です。「協力」以外にも、指示、判断、指導、寄付などについて、「〜を仰ぐ」というかたちで用いられます。
次の項でご説明するように「下から見上げる」という意味があります。「仰ぐ」自体は謙譲語ではありませんが、例えば、「協力を仰ぐ」という場合、協力を求める相手に対しての敬意のニュアンスを含みます。
【使い方】
- 次に手をつけた方がよい案件について、上司に指示を仰いだ。
- 志望校について、自分では決められなかったので、先生に判断を仰いだ。
- この件についてはあまり知識がないので、専門家に指導を仰ぐつもりだ。
- そちらに寄付を仰いで難局を乗り切れたのですから、今度はこちらがお助けする番です。
「上を向いて高い所を見上げる」
「仰」の字意は、「顔を上げて上を見る」「見上げる」です。「仰ぐ」も「上を見上げる」という動作を表します。
「天を仰ぐ」「空を仰ぐ」は、本来は、天や空を見上げる動作を指します。しかし、天に神様がいるという考えから、神様に訴えるように天(空)を見上げるという意味でも用いられます。
「天(空)を仰ぐ」は、例えば、何かを失敗してしまったり、ショックなことがあったときに使います。嘆きや悲しみといった感情を吐き出すイメージですね。
【使い方】
- 明るい晴空を仰いだら、気分が良くなった。
- 山の頂を仰ぐと、うっすら雪が積もっているのが見えた。
- ライバルに仕事を横取りされて、悔しくて天を仰いだ。
「人を尊敬する」
「仰」の字意である「上を見上げる」から、人に対して「仰ぐ」を使った場合、「人が人を見上げる」ことから「尊敬する」「敬う」ことを表します。
卒業式などで歌われる『仰げば尊し』の歌詞、「仰げば尊し 我が師の恩」は、「仰ぎ見るほどに尊い先生への恩」という意味です。
「尊敬する」という意味の「仰ぐ」は、多く、「師と仰ぐ」「神と仰ぐ」のように「○○として尊敬している・崇めている」という言い回しで用いられます。
【使い方】
- 私は彼を師と仰いでいる。
- 彼には神と仰いでいる野球選手がいる。
「あおる」
「仰ぐ」は、「上を向く」という字意から、コップや杯を口に当ててグッと上を向き、「一気に飲み干す」ことを表します。この意味で「仰ぐ」が用いられるのは、主に、毒や酒についてです。
【使い方】
- 追い詰められた彼は毒杯を仰いだ。
- 昨夜はさんざんに酒を仰いで酔いつぶれてしまった。