「将」の表す意味とは?
「将」は、軍隊を率いることやその人を意味する言葉です。かつては「軍隊」を率いることのみを表していましたが、現在はスポーツチームなど団体のリーダーを表す言葉としても使われます。
例として野球において、「敵将」という言葉が用いられれば、それが相手チームの監督を指していることがお分かりいただけるでしょう。
またキャプテンという意味で「主将」という言葉が使われた場合、これは先ほどの「敵将」とは違って指導者ではなく、プレイヤーであるチームリーダーがイメージされます。このような使い分けが見られるのは興味深いところです。
「将」を用いた熟語とは?
「将」を用いた主な熟語には、次のようなものがあります。
- 将軍(しょうぐん)=一軍を指揮する者
- 将校(しょうこう)=少尉以上の軍人
- 武将(ぶしょう)=武士の大将
- 名将(めいしょう)=優れた将軍・大将
- 猛将(もうしょう)=強く勇敢な将軍・武将
- 将卒(しょうそつ)=将校と兵卒
いずれも、軍隊やチームを率いる者という点で意味が繋がっていると分かれば、理解しやすく、覚えやすいのではないでしょうか。
「ワイ将」の意味とは?
「ワイ将」は2ちゃんねる(現5ちゃんねる)生まれのネットスラングで、「私」「俺」などと同様に一人称を表す代名詞です。
自分自身を表す一人称の方言「ワイ」に、「将」が組み合わさった言葉です。「ワイ将」を用いた文には、次のようなものがあります。
- ワイ将、ペナントレースの予想をしてみた。
- ワイ将、1年ぶりに女子と話す。
- ワイ将、今年こそダイエットに成功したい。
一人称である「ワイ」に、リーダーを表す「将」の組み合わせは、自分が何らかの代表であるという、ちょっとした「高慢さ」を読み手に与える表現と言えます。そしてその次に「1年ぶりに女子と話す」「今年こそダイエットに成功したい」といった少しお間抜けな文面が続くことで、一種の「おかしみ・ユーモア」が演出されてきたのかもしれません。
しかし現在ではそのユーモアの部分は抜け落ち、単に一人称の一種としても存在しています。
「将」の旧字体とは?
「将」の旧字体は「將」ですが、見かけける機会は少なくなりました。現在では、将棋の駒に書いてある「王將」や「金將」などの文字で目にすることができます。
「将」を用いたことわざ・慣用句とは?
「将」を用いた主なことわざや慣用句には次のようなものがあります。
【将を射んとせば先ず馬を射よ】
(しょうをいんとせばまずうまをいよ)
敵将を射ようと思うなら、まず敵将の乗っている馬を射止めよ。目的のものを手に入れるには、まず周辺のものから手中におさめるのが有効だというたとえ。
【王侯将相寧んぞ種あらんや】
(おうこうしょうそういずくんぞしゅあらんや)
一国の帝王や諸侯をはじめ、将軍や宰相になるには、みずからの努力や心がけが大切であって、けっして家柄が物をいうわけではない。
【勇将の下に弱卒なし】
(ゆうしょうのもとにじゃくそつなし)
「強将の下に弱卒なし」とも。強い大将のもとでは、部下も感化され勇気ある兵士になっていくということ。
【敗軍の将は兵を語らず】
(はいぐんのしょうはへいをかたらず)
戦いに敗れた将軍は兵法について発言する資格はない。失敗した者は、そのことについて弁解する資格がないというたとえ。
「将」を用いた例文とは?
ここで、「将」を用いた例文をいくつか確認しておきましょう。
(一軍を率いる者は、味方の首の後ろばかり見ていては戦いに勝つことはできない)
これは江戸に幕府を開いたことで有名な徳川家康の言葉です。大将たるもの、時として前線に立って指揮を執るべきである、という意味を示しています。
(あなた様には兵を率いる能力はあまりありませんが、大将を率いる力をもっていらっしゃいます)
こちらは中国で漢の時代を開いた劉邦に対して部下である韓信が言ったセリフだとされてます。中間管理職を務める器と、組織のトップになる器は異なるという指摘は、現代にも通じる考えといえそうです。
「将」が漢文で用いられている場合は?
漢文の世界で「将」は再読文字としてのはたらきも持っています。そのため、文意を正しく捉えるには注意が必要です。
再読文字としての「将」の意味・用法は次のとおりです。
- 「まさに~す」 = ①「今にも~しそうだ」「やがて~になりそうだ」②「~しようとする」
「将来」という熟語も、漢文訓読の用法では「まさにきたらんとす」、現代語訳すると「今にも来そうだ」という意味になり、未来を表す熟語であることが理解していただけると思います。