帰途につくとは?帰途につくの意味
家などの目的地への帰り道を歩き始めること
帰途につくの説明
「帰途につく」は「帰途に就く」が正しい表記で、「帰途」は帰り道や帰路を意味します。「就く」は動作を開始することを表すため、帰り道を歩き始めるというニュアンスになります。よく混同される「帰途に着く」は誤りで、「着く」は到着を意味するため、文脈に合いません。この表現は格式ばった場面や文章語として使われることが多く、日常会話では「帰り道につく」「家路につく」などがより自然です。ビジネスメールや改まった場面で使うと、丁寧で上品な印象を与えることができます。
知っているようで意外と知らない日本語の表現、奥が深いですね!
帰途につくの由来・語源
「帰途につく」の語源は、中国の古典に由来します。「帰途」は「帰る道」を意味する漢語で、日本では古くから詩歌や文学で使用されてきました。「つく」は「就く」が正しく、動作の開始を表す日本語の動詞です。この表現が定着したのは明治時代以降で、特に知識人や官僚の間で格式のある表現として用いられるようになりました。元々は漢文調の硬い表現でしたが、次第に一般的な慣用句として広まり、現在ではビジネス文書や改まった場面でよく使われるようになりました。
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帰途につくの豆知識
「帰途につく」と似た表現に「帰路につく」がありますが、実は微妙なニュアンスの違いがあります。「帰途」はどちらかと言えば個人の帰宅を指すのに対し、「帰路」は軍隊や団体の帰還など、より大規模な移動に使われる傾向があります。また、この表現をわざと間違えて「帰途に着く」と書くことで、到着したことを強調する遊び心のある使い方も見られます。さらに面白いのは、関西地方では「帰途につく」よりも「家路につく」の方がより自然に受け入れられるという方言的な違いもあるんですよ。
帰途につくのエピソード・逸話
作家の夏目漱石は、教職を辞めて作家専業になる決意をした後、朝日新聞社からの帰宅途中で「これでようやく文学への帰途につけた」と語ったという逸話が残っています。また、元プロ野球選手の長嶋茂雄氏は現役引退試合後のインタビューで「今日で野球人生の帰途につきますが、新たな道へ進みます」と名言を残しました。さらに、美空ひばりは最後のコンサートツアー中に「皆様との旅もいよいよ帰途につきますが、歌は永遠に続きます」とファンに語りかけ、感動を呼んだそうです。
帰途につくの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「帰途につく」は「漢語+和語」の混合構造を持つ複合動詞です。「帰途」という漢語名詞に、日本語の動詞「就く」が結合しており、これは日本語における漢語受容の典型的なパターンです。興味深いのは、同じ「つく」でも「就く」と「着く」ではアスペクト(動作の局面)が異なり、「就く」が動作の開始点を、「着く」が動作の終了点を表す点です。この表現はまた、日本語の婉曲表現の特徴も示しており、直接的な「帰る」ではなく、より抽象的な「帰途」を使うことで、丁寧で上品な印象を与える効果があります。
帰途につくの例文
- 1 終業時間と同時に帰途についたのに、なぜか電車が人身事故で止まってしまい、結局いつもより遅く家に着いてしまった。
- 2 友達との楽しい飲み会が終わり、ほろ酔い気分で帰途につくときの、なんとも言えない寂しさと満足感がたまらない。
- 3 仕事で大きなプロジェクトが無事終了し、ほっと一息ついて帰途につく瞬間の達成感は、サラリーマンにとって最高の喜びだ。
- 4 久しぶりに実家に帰省した後、故郷を後にして帰途につくときの、あの切ないような温かい気持ちは何度経験しても慣れない。
- 5 雨の日に傘もささずに帰途につこうとしたら、同僚が「どうぞ」と傘を貸してくれて、ちょっとした人間関係の温かさにほっこりした。
「帰途につく」の使い分けと注意点
「帰途につく」は格式ばった表現のため、使用する場面によって適切な使い分けが必要です。ビジネスシーンや改まった文章では効果的ですが、友人同士のカジュアルな会話では違和感を与える可能性があります。
- ビジネスメールや公式文書では「本日は18時に帰途につく予定です」のように使用可能
- 目上の人への報告や連絡に適している
- 友達同士の会話では「そろそろ帰るね」の方が自然
- 「帰りの帰途につく」は重言(冗長表現)なので避ける
また、漢字表記は「帰途に就く」が正式ですが、現代では平仮名の「帰途につく」も広く受け入れられています。
関連用語と類義語のニュアンス比較
| 表現 | 意味 | 使用場面 | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| 帰途につく | 帰り道に向かい始める | 格式ばった場面 | 動作の開始を強調 |
| 帰宅する | 家に到着する | 日常会話 | 到着に焦点 |
| 家路につく | 家に向かう道を行く | 文学的表現 | 情感豊か |
| 引き上げる | 場所から離れる | ビジネス・軍事 | 集団的撤退 |
「帰途につく」は特に、仕事終わりや外出先からの帰還開始時を表すのに適しており、単なる「帰る」よりも丁寧で上品な印象を与えます。
歴史的背景と文化的意義
「帰途につく」という表現は、明治時代の文明開化期に知識人層の間で広まりました。当時は漢語を多用することが教養の証とされ、和語の「帰る」よりも漢語の「帰途」を使うことが好まれた背景があります。
帰途につく夕暮れの街並みは、どこか哀愁を帯びて美しい。
— 志賀直哉
文学作品中では、主人公の心情や物語の転換点を表現する際に頻繁に用いられてきました。現代ではビジネスシーンを中心に使われていますが、その根底には日本の「勤勉さ」や「仕事への誠実さ」を表現する文化的な意義が込められています。
よくある質問(FAQ)
「帰途につく」と「帰宅する」の違いは何ですか?
「帰途につく」は帰り道に向かい始める動作を指し、まだ家に到着していない状態を表します。一方、「帰宅する」は実際に家に到着したことを意味します。つまり、帰途についた後で帰宅するという流れになりますね。
ビジネスメールで使う場合、どのような場面が適切ですか?
取引先や上司への連絡で「本日は〇時頃に帰途につく予定です」のように、退社時間や移動開始の報告として使えます。ただし、カジュアルな場面では「そろそろ帰ります」などの方が自然です。
「帰途につく」の反対語は何ですか?
反対の意味を持つ表現としては「出勤する」「外出する」「赴く」などが挙げられます。特に「出立する」は旅立ちを表す格式ばった表現で、帰途につくの対義語としてよく使われます。
なぜ「帰途に着く」ではなく「帰途に就く」が正しいのですか?
「就く」は動作の開始を、「着く」は到着を意味するからです。帰り道に向かい始めるという動作に焦点があるため、「就く」が正しい表記となります。この違いを理解すると、日本語の表現の豊かさがわかりますね。
日常会話で使うと不自然ですか?
フォーマルな表現なので、友達同士のカジュアルな会話では「帰る」や「家に戻る」の方が自然です。しかし、あえて使うことでユーモアやおどけたニュアンスを出すこともできます。状況に応じて使い分けるのがおすすめです。