「烏合の衆」とは
「烏合の衆」とは、ただ集まっているだけで、まとまりのとれていない状況の時に使う、烏の群れを例えとした比喩的表現です。烏たちは、何らかの意味があって騒いでいるかもしれません。しかし、人間からすると、「ギャア、ギャア」と騒いでいるようにしか見えないのです。
烏の群れのように、ただ騒いで、規律や統制がとれていないことを意味します。転じて、まとまりのない軍隊をさす表現でもあります。また、「烏合之衆」とも書きます。
「烏合の衆」の使い方と例文
- この戦いは絶対に勝てる。相手はただ集まっただけの烏合の衆だ。
- このプロジェクトは、社の命運がかかっている。烏合の衆にならず、チームワークよくとりかかってください。
- 烏合の衆になることなく、チーム一丸となって試合にのぞもう。
試合にのぞむ前や大きな課題に取り組む際、「烏合の衆」を引き合いにだして、より結束力を高める時などに使われています。
「烏」とは
「烏」のもつ意味や「烏」が使われた言葉を紹介します。
「烏」のもつ意味
「烏」とは、烏自体の特徴の他に「口やかましく、物忘れのひどい人。意地汚い人。」という意味を合わせてもっています。これは、烏の性質から起因しており、烏と言えばこのような意味をもつものとなりました。
また、「尾羽打ち枯らす」という言葉があります。尾と羽根が傷ついてみすぼらしくなることから、「落ちぶれてみすぼらしくなる。零落する。」という意味です。本来ならば、烏とは関係ありませんが、「打ち枯らす(からす)」という言葉の「もじり」から、これも烏の意味として合わせてもっています。
「烏」が使われた言葉
- 烏の行水 入浴時間の短いたとえ。
- 烏を鷺(さぎ) 黒い鳥を白い鳥といいはること。理を非に、非を理にいいくるめることのたとえ。
- 寡烏(やもめからす) 夜半から夜明けにかけて鳴く烏をののしっていうこと。連れ添いのない一羽の烏だけのこと。
- 烏鳴 俗説によるとその鳴き声によって吉凶を占うこと。
- 烏の足跡 目じりにできる小じわのこと。
- 烏金(からすがね) 翌日の暁に烏が鳴くとともに返済すべきお金。日賦で借りた高利のお金のこと。
「烏合の衆」の由来
「烏合の衆」の由来は、中国の『後漢書』から由来しているといわれています。当時、「烏」はただ集まって、騒ぐだけで、まったく規律も統一もとれていないため、その様子からの「たとえ」とされたものです。
後漢書 耿えん伝
後漢の武将耿えん(こうえん)が、「烏合の衆にすぎない相手の軍隊に対して枯れるをくだき、腐れたるをくじくように、簡単に蹴散らしてしまう。」という言葉から由来しています。
「烏合の衆」の類義語
- 野次馬 物見高く集まって騒ぎ立てる人。
- 有象無象 大勢のくだらない人々。雑多なつまらない者たち。
- 寄せ集め あちらこちらから寄せ集めること。
- 寄合勢 統一や規律もなくただ集まっただけの軍勢。
「烏合の衆」の英語表現
「烏合の衆」の英語表現では、a rabble や a disorderly crowd 、a mob などがあります。a rabble は大衆、やじ馬連、群衆、a disorderly crowd は無秩序、a mob は暴徒、やじ馬連を意味します。
英語表現では、いずれも、やじ馬連や群衆などまとまりのとれていない集団を指しているのに対して、日本語表現では、うまく烏を例えとして表現しています。
「烏合の衆」のまとめ
「烏合の衆」を構成する「烏」は、紹介したとおり、良いイメージを持っていません。しかし、「烏」は、現在では、学習能力があり、賢い鳥として知られています。また、唱歌の『七つの子』で歌われているように、かわいい鳥として、愛着も合わせてもっている鳥です。