「徒労に終わる」とは
一生懸命に取り組んでいたのに、成果が出ることなく、「徒労に終わった」と嘆いている人を見かけたことはありませんか?また、努力が報われない人を「彼は徒労に終わってしまった」と言ったりすることはありませんか?
「徒労に終わる」とは、このように、「自分が行ったことの結果や成果が出ないさま」から、「苦労して行ったことに対して成果が出ることもなく終了してしまう」ことを意味する慣用表現です。
「徒労に終わる」は、「徒労」と「終わる」から成り立っています。この言葉の主要な要素を成す「徒労」に焦点をあてて見ていきます。
「徒労」の意味
「徒労」とは、「何の効果もなく無駄な苦労」という意味です。「徒」と「労」には、以下のような意味があります。「徒労」の「徒」も「労」も、それぞれの漢字の1の意味です。
[徒]
- 無駄で、むなしく、役に立たないこと。(徒労)
- 乗り物に乗ることなく歩くこと。(徒歩)
- 手には何ももたないこと。素手のこと。(徒手)
- 仲間のこと。(学徒)
- 労役を伴う刑罰(徒刑)
[労]
- 仕事をすること。(勤労)
- 疲れること。(過労)
- いたわり、ねぎらうこと。(慰労)
「徒労に終わる」の使い方
- 長期間の発掘作業は大きな成果もなく徒労に終わりました。
- 警察の地道な捜査も徒労に終わり、事件は解決しませんでした。
- 事業への取組みは徒労に終わりましたが、皆に向上心が生まれました。
- 徒労に終わったが、めげることなく前を向くことも大切です。
「徒労に終わる」の類語
「骨折り損のくたびれ儲け」
「骨折り損のくたびれ儲け(もうけ)」とは、「苦労をしてみたものの疲れが残っただけである(儲けたのは疲れだけ)」ということです。「骨折り」が苦労、「くたびれ」が疲れを意味しています。「徒労に終わる」とニュアンスが似通っているため、類語と言えます。
[例文]
- 友だちに見合い話をすすめてもうまくいかない。骨折り損のくたびれ儲けです。
- せっかくの取組みが無駄になってしまった。全く骨折り損のくたびれ儲けだよ。
「無駄骨に終わる」
「無駄骨(むだぼね)に終わる」とは、「苦労して行ってきたが何の成果も出ない」ということです。「無駄骨」は「無駄骨折り」の略称です。「努力したことが無駄となってしまった」ところが類語と言えます。
[例文]
- いままでの取組みが無駄骨に終わったことがわかりました。
- 結局、二国間交渉は無駄骨に終わってしまった。
「無駄足を踏む」
「無駄足(むだあし)を踏む」とは、「わざわざ出かけて行っても、目的が果たせず無駄に終わること」という慣用句です。無駄に終わるという点で、「無駄足を踏む」も「徒労に終わる」の類語と言えます。
[例文]
- アポなしで取引先に行ったら、担当者が不在で、無駄足を踏むことになってしまいました。
- 星の観察に出かけても雲が多くて、無駄足を踏むことばかりが続きやる気が失せてしまいます。
「徒」や「労」を用いた用語
「徒」を用いた用語
- 徒食(としょく):仕事をすることなくただぶらぶらと遊んでいること。
- 徒然(とぜん):何もすることなく暇なこと。「つれづれ」とも読みます。
- 徒党(ととう):目的を達成するために仲間をつくること。
「労」を用いた用語
- 報労(ほうろう):労働や苦しみに報いること。または、その報酬のこと。
- 煩労(はんろう):心や気持ちを煩(わずら)わして心身が疲れること。また、煩わしい仕事や苦労のこと。
- 辛労(しんろう):つらい苦労をすること。
「徒労に終わる」の英語表現
「徒労に終わる」の英語表現では、「to end in vain」や「to be wasted effort」などのフレーズで表現します。end(終わる)やvain(むなしい)、wasted(へとへとに疲れた)などの終末を表すような用語が用いられています。
[例文]
- After all, it ended in vain.(結局、それは徒労に終わった)