「二番煎じ」とは?
「二番煎じ(にばんせんじ)」には、次の2つの意味があります。一般的には、2の意味で使われることが多いようです。
- 一度煎じた薬草やお茶などをもう一度煎じること。また、その煎じたもの:「二番煎じのお茶」
- 1の意味から転じて、一度使われたものをまねしたり、繰り返しているだけで、新しいところがなく、変わり映えのしないもの。
「煎じる」とは?
煎じるとは、薬草やお茶などを煮つめて、その成分や滋養(じよう)などを取り出すことを言い、「煎ずる」という言い方をされることもあります。
漢方では、生薬(しょうやく:漢方薬の原料のこと)を煎じた薬の汁のことを「煎じ薬」と言います。煎じ薬を調整し、水分を除いたものを加工して顆粒や粉末にした「エキス製剤」は、私たちも普段目にする機会も多いものです。
「二番煎じ」使い方
「二番煎じ」は、「新鮮味のないもの」というやや批判的なニュアンスを込めて使われます。
- 新作のアニメーション映画を見に行ったが、昨年大ヒットした作品の二番煎じで、あまりおもしろいとは言えないできばえだった。
- 文化祭の模擬店(もぎてん)だが、いろいろ考えてもどこかで見たような企画になってしまい、二番煎じの感が否めない。
- デビュー作が大きな新人賞を取った作家の次回作に期待したが、プレッシャーが強かったのか、デビュー作の二番煎じになってしまったようだ。
「二番煎じ」の類語
「煎じ詰める」
「煎じ詰める(せんじつめる)」は、次の2つの意味を持ちます。
- 薬草やお茶などを、その成分がすべて出つくしてしまうまで煮ること。
- 1の意味から転じて、考えを行きつくところまで進めること。
【例文】
- 冷え性に効果のある薬草を煎じ詰めて、母に飲ませた。
- 両者の言い分は一見異なっているようだが、煎じ詰めれば同じ内容を述べているに等しい。
「焼き直し」
「焼き直し」には、元々あるものに部分的に手を加えたりして、新しいもののようにすること、また、そういうものという意味があります。 「二番煎じ」の意味と共通していますね。
【例文】
- 今年のファッションの流行は、何年か前に流行ったデザインの焼き直しであまり魅力がない。
- 今、公開中のアメリカ映画○○は、5年前にヒットした邦画の焼き直しだよ。
「二番煎じ」英語での表現
「二番煎じ」を英語で表現すると、次のようになります。
- second brew of tea(二度目に煎じたお茶)
- rehash(焼き直し)
- recycled(アイディアなどの使いまわしで新鮮味がない)
【例文】
That is a recycled design of the previous one.(そのデザインは、前回のデザインの二番煎じだ。)
落語「二番煎じ」
古典落語の演目の一つに、「二番煎じ」というものがあります。もとの話は1690(元禄3)年に江戸で出版された笑い話「花見の薬」です。この話が同じころに上方で作り変えられ、大正時代には五代目三遊亭圓生によって東京でも語られるようになりました。
「二番煎じ」あらすじ
冬の夜、旦那衆が番小屋に集まって交替で町内の夜回りをしています。そのうちに禁じられている酒を「風邪の煎じ薬」だと称してみんなでこっそり飲み始め、さらに鍋まで用意して宴会が始まります。そこへ同心(役人)がにぎやかな声を聞いて番小屋へ入って来ました。
あわてて酒を隠そうとしますが見つかり、「風邪の煎じ薬」だとごまかすと、同心は、自分も風邪気味だと言って酒を全部飲み干します。旦那衆が、もう煎じ薬がないと言うと、同心は「町内を一回りしてまいる。二番を煎じておけ」というオチの話です。