「やたらめったら」とは?
「やたらめったら」とは、「秩序・統制・節度を失うほどの高い頻度(ひんど)、量や程度などがとても多いこと」を意味する言葉です。
元々は「めったやたら」(滅多矢鱈)という言葉でしたが、これをもじって前後を入れ替えたものが「やたらめったら」です。「めったら(めたら)」という語彙は日本語にはありませんが、もじった際に「めった」が変形した形と捉えましょう。
「やたら」とは
「やたら」は、「やたらに寒い」「やたらと忙しい」などのように、「秩序を乱してむやみに」「わけもなく」「無作法に」という意味の言葉です。「矢鱈」と書く場合もありますが、これは当て字であり意味はありません。
特に、形容詞や動作の前に置かれて、それが「秩序や節度が感じられないほどの頻度や量である」という意味で使われることが多く、「やたらめったら」の場合も同様です。
「めった」とは
「めった」とは、「分別のないさま」「むやみやたらなさま」「むちゃくちゃ」という意味の言葉です。「滅多打ち」「めったなことを言うな」などの言葉で知られていますね。(「滅多」も当て字であり意味はありません)
また、「めったにない」など下に打ち消しの語を伴う場合には、「ほとんど(ない)」「まれにしか(ない)」という意味でも使われます。
「やたらめったら」の「めった」は、「滅多打ち」と同様、「むやみ」「むちゃくちゃ」の意味です。「やたら」と「めった」、似た意味の言葉が2つ合成されて「やたらめったら」になっていることがわかりますね。
「やたらめったら」の使い方
「やたらめったら」は、何らかの「頻度・量・程度」について、それが秩序が感じられないほど多いさまを指して使います。何らかの様子を強めて言う意図でも使われますが、無秩序ゆえに「混乱」や「非常識」、「分別のなさ」のニュアンスを伴うこともあります。
それゆえ、「やたらめったら」何かをする様子は、手放しで褒められるものではありません。しかし、「何もしないよりはよい」「積極的でよい」「意外な成果をもたらす」というポジティブな文脈で使うこともできます。
なお、漢字表記はありません。(元は「滅多矢鱈」でしたが、当て字の上に語形が変わっているため)
例文
- 会議中、彼がやたらめったらに質問や意見を挟んでくるものだから、つい「説明を最後まで聞いてくれ」と声を荒げてしまった。
- 隣の家は夜通しパーティを開いていた。やたらめったら騒ぐので眠れず、警察に電話を入れた。
- 若いころは、どんなものが読者に受けるかわからなかったので、とにかく量をこなそうと思ってやたらめったら漫画を描いていた。
- やたらめったら彼女への愛の言葉をつぶやいていたら、意外にも以前よりも好感度が上がった。
「やたらめったら」の類語
無暗
「無暗」(むやみ)という言葉には、次の2つの意味があります。
- 前後を考えないさま。理非を分別しないさま。
- 度を超すさま。
この両方の意味が、「やたらめったら」に通じています。「むやみやたら」(無暗矢鱈)という言葉もあります。
【例文】
- 先が見通せないときは、無暗に進むべきではない。
- 若いころは、健康も顧みず無暗に働いていた。
箆棒
「箆棒」(べらぼう)とは、「異常なさま」「はなはだしくて、信じがたいさま」という意味の言葉です。少々俗語的な言葉ですが、秩序を失うほどの量や程度というニュアンスが「やたらめったら」とよく似ています。
なお、人を罵って言う言葉(ばか、たわけなどの意味)として「箆棒め」使われることもありますので、その点のみご注意ください。
【例文】
- 今年の冬はべらぼうに寒い。
- 私の友人は、べらぼうに運動ができた。