「気位が高い」とは
近寄り難く、「ツン」としていて、お高くとまっている様子を「気位(きぐらい)が高い」と言っていませんか。このように、「気位が高い」とは、「自分の気高さやおごそかさを誇って、それを維持しようとする気持ちが強いこと」を意味する慣用表現です。
「気位」とは
「気位」は、「他人と比べて自分が上だと考える」、または、「それを保とうとする気持ち」という二つの意味を持っています。「気位」は、「高い」という言葉と結びついて、「自分の品位を誇るあまり、他人を見下してしまうさま」を表しています。
剣道用語では、「自信から生じる威力。名人、達人におのずから備わったもの」という意味で、「修練を積むことによって自然に備わる気品」のことを表します。剣道で「高い気位」とは、見るものに伝わる充実した「気」を備え、品位を備えた堂々とした態度と言われています。
「気位が高い」の使い方
「気位が高い」は、とても近寄り難く偉そうな雰囲気を醸(かも)し出す状況やそのような人を指す場合などに使います。「威張っている」や「生意気」などの直接的な言葉ではなく、婉曲的な表現として使われます。
- 彼女はいつも澄ました様子で気位が高そうな人です。
- 私は会社の中では気位が高く気難しい人間と思われています。
- 今度就任した社長は気位が高そうな雰囲気で近寄りがたいです。
- 彼の気位が高い態度をチームの全員がいつも気にしています。
- 隣の家の人たちは気位が高そうで気軽に話すこともできません。
「気位が高い」の類語
「気位が高い」の類語は、「気位が高い」の意味によって、次のとおり分類されます。
「おごり高ぶり人を見下す」という意
- 「高慢」:「自分の才能や容姿などが人よりも優れていると思いあがって人を見下すさま」という意味です。
- 「お高くとまっている」:「人を見下すような態度をとる。尊大にかまえる」という意味です。この言葉はあえて「お」をつけて冷やかしの意味を込めた慣用表現です。
【1の例文】
- 彼は人気俳優であるが、高慢なところが欠点となっています。
- 高慢な態度ばかりとっているとその鼻をへし折られてしまうよ。
【2の例文】
- 隣の家の母親は子どもの自慢ばかりでいつもお高くとまっている。
- お高くとまることばかりではなく、謙虚(けんきょ)になることも大切なことです。
「品位を保つ」という意
- 「プライドが高い」:「自分の才能に自信や誇りを強く持っている」という意味です。しかし、自信や誇りが強いため負けず嫌いで自分の非は認めないという融通のきかない面もあります。
- 「自尊心」:「自分を優秀な者と思う気持ち。自分の品位を保とうとする気持ち」という意味です。自分を肯定する気持ちはナルシストに通じるものがありますね。
【1の例文】
- 彼はプライドが高いから恥ずかしいことはできない。
- 彼女はプライドが高すぎるため友だちが少ない。
【2の例文】
- 彼は自尊心を傷つけられて怒っている。
- このような体たらくでは自分の自尊心が許さない。
「気位が高い」の英語表現
「気位が高い」に近い英語表現としては、「be proud」や「have lots of pride」などが挙げられます。英語表現ではプライド「pride」という語を使います。
【例文】
He is very proud.(彼は非常に気位が高い)
「気位が高い」が使われた記事
〃ニシン漁の不漁によって祖母の家も、昭和のはじめ頃には廃業の憂き目にあった。祖母は気位の高い人だったが、それは、かつての生家の繁栄をよすがとしているようなところがあった。〃
2019年3月6日 朝日新聞