「見る限り」とは?
「見る限り」は、(みるかぎり)と読みます。「見る」は、ごく一般的な意味での「目で見る」ことです。「見る限り」を正確に理解するために、まず「限り」という言葉を調べていきましょう。
「限り」は、きわめて多義的な言葉ですので、「見る限り」で使われる意味に焦点をしぼって解説します。「限り」は、動詞のあとに「~限り」と付くことで「~の範囲のすべてで」と副詞的な働きをします。
したがって、「見る限り」は、「自分の目で見た範囲において」という意味をもつ言い回しです。
「見る限り」と「見た限り」
「見る限り」と同じくらいの割合で、「見た限り」という言い回しも使われています。意味はまったく同じです。
「見る」は現在時制、「見た」は過去時制ですが、使う際に時制にとらわれる必要はありません。たとえば、過去の回想に、「あの時、~を見る限りでは~だった」でも「あの時~を見た限りでは~だった」でも同じ意味となります。
現在、目の前で起こっていることについても、「いま、~を見る限り~のようだ」でも、「いま、~を見た限り~のようだ」でも同様です。
いうなれば、「見る限り」は情報の提示に用いられる表現であり、「見る」行為はすでに完了しているからこその「限り」。その意味で現在時制の「見る」にも過去形の要素が入っていると考えることができます。
「見る限り」の使い方
基本的には、「見る限り」の前に、実際に目で見たものを置きます。まれに、前の文や会話に登場する光景や物などを受けて、「見る限りでは」と、この言い回しだけで始めることもあります。
もしくは、「私が見る限り」のように、自分を表す主語からはじめ、「~は~のようだ」と続けるケースもあります。ここで「私」が見ているのは、あとに続く「~は」の状況などのことを指します。
また、時には、ものごとの傾向や推移など、物理的な「物」ではなく、全体的な状況のことを「見る」として、「知る」に近い意味で表現することもあります。
使う際には、「限り」のニュアンスも意識しておきたいものです。自分が見た範囲では、という限定条件を示している言葉なので、見た以外の状況などがほかではあるかもしれない、という含みがあります。
「見る限り」の文例
- あの男の顔相を見る限り、万引きをする人間だとはとても思えない。
- ずいぶん人が集まってきたな。見る限りでは、今チラシを配れば効率がいいよ。
- 私が見る限り、彼の疲れはピークにあるようだ。
- 中古マンションの販売価格の全体的な下落を見る限り、この部屋を手放すのは得策と思えない。
- この店での店頭販売を見る限りは大ヒットといえるのだが、全店舗のデータなしにはわからない。
「見る限り」の類語
「見るところ」の意味と使い方
「見るところ」は、見たようすでは、外見からは、という意味の言葉です。「見た限り」に比べると、実際に目にしたもの、というところに重点が置かれています。
また、「見る限り」と同様に、「見るところ」でも「見たところ」でも同じ意味として用いられます。
文例:私が見るところ、今の鈴木君のコンディションなら、レギュラーメンバーとして試合に復帰させてもいいと思う。
「見た感じ」の意味と使い方
「見た感じ」は、見た外見上のところでは、という意味の言い回しです。「見る限り」「見るところ」とは異なり、現在時制の「見る感じ」を用いる頻度は少なく、一般的には「見た感じ」が使われています。
「見る限り」「見るところ」と同様に、対象の状態、性質、状況などを見て、説明をする際の情報として提示する言葉です。ただ、若干違うところとしては、「見た感じ」には、(自分の感じたところでは)という、主観的なニュアンスがやや強くなります。
文例:お泊り会の子どもたちの様子を見た感じでは、楽しんでいるのではないかと思える。