「肩をすくめる」とは
「肩をすくめる」とは、「両手をあげて身を縮こまらせること。恥ずかしい思いをした際などのようす」、または、「どうしようもないという気持ち」や「恐れ入った。あきれた。不本意だ」というさまを表現することです。
具体的な動作としては、両肩をあげます(両方の手ひらを上にあげる動作を伴うこともあります)。欧米人がよく見せるしぐさのひとつです。「肩をすくめる」は、「肩を竦める」と表記もされます。
「すくめる」とは
「すくめる(竦める)」とは、「体の一部などを縮ませる。体を小さくする。または、押さえて動かないようにする」という意味です。
[例文]
- 幼い弟は、小さな体を一層小さくして物陰に身をすくめている。
- 道路に飛び出しそうになった子どもを抱きすくめた。
「肩をすくめる」の使い方
- 監督の厳しい指導に対して思わず肩をすくめてしまった。
- 彼の奇抜な言動にはいつも肩をすくめている。
- 隣の家の子どもは母親から大声で𠮟られ肩をすくめていた。
- 相手の投手から圧巻のピッチングをされ肩をすくめるしかなかった。
- 私は彼女からの突然の厳しい言動に肩をすくめてしまった。
「肩をすくめる」の類語
「肩をすぼめる」
「肩をすぼめる」とは、「寒くて身を縮める。肩身が狭く感じられて小さくなる」という意味です。「寒さや肩身の狭さなどのため、しょんぼりとしたさま」を表しています。「肩を窄める」とも表記します。
【例文】
- 真冬の日に北風の中を肩をすぼめて歩いています。
- 今日は失敗続きのため肩をすぼめて帰った。
「首をすくめる」
「首をすくめる」とは、「驚いたり、恐れ入ったりしたときに、思わず首を縮めるしぐさ」という意味です。「首を竦める」とも表記します。
【例文】
- 近くで大きな爆発音が聞こえ、咄嗟(とっさ)に首をすくめてしまった。
- 私の横を猛スピードで自動車が通りすぎたため、思わず首をすくめた。
「肩を使った言葉
「肩」を使った言葉はたくさんあります。その中からいくつか見ていきます。
「肩を落とす」
「肩を落とす」とは、「がっかりして力が抜けて肩が垂れ下がる」という意味です。「気落ちしてしょんぼりする。落胆する」様子を表しています。
[例文]
- 最終回の逆転負けに選手全員が肩を落とした。
- 将軍は、最後の防衛線が突破されたとの報を受け肩を落とした。
「肩の荷がおりる」
「肩の荷がおりる」とは、「責任や負担から解放されて楽になる」という意味です。「背負っていた荷物を肩からおろして楽になる」様子を例えとしたフレーズです。
[例文]
- 社長という重責から解放され肩の荷がおりた気分だ。
- 自分の受験番号を掲示板で見つけ、うれしさよりも肩の荷がおりた気持ちです。
「肩で風を切る」
「肩で風を切る」とは、「肩を高くして得意そうに歩く」という意味です。「威厳があって立派な様子を示したり、権力や勢力を誇ったりする」ことです。
[例文]
- 彼はかつて肩で風を切るほど羽振りがよかった。
- チームは日本一となり、メンバーは肩で風を切る勢いで歩いています。
「肩で息をする」
「肩で息をする」とは、「上下に肩を動かし荒い息をする」という意味です。「大変苦しそうに息をする」様子を肩の動きで例えたフレーズです。
[例文]
- マラソンを完走したランナーは、肩で息をしています。
- 彼は肩で息をしながら一大事を報告してくれた。
小説「肩をすくめるアトラス」
小説『肩をすくめるアトラス(原題: Atlas Shrugged)』は、1957年にロシア系アメリカ人の小説家アイン・ランドの4作目の小説で、「人間の存在に果たす頭脳の役割」がテーマとなっています。
作品の中で、ランドは「成功した実業家が規制などによって攻撃を受け、国を捨て去って行った結果、社会に必要な産業が崩壊していく反理想郷的なアメリカを描き」、自身が執筆した作品の中でも最高傑作と言われています。