「花を添える」の意味
「花を添える」は「美しいものに、さらに美しいものを加える。華やかさを増す」という意味の慣用句です。
「花」と言えば、一般的にはバラや桜などのような、色とりどりの植物のことを指しますね。ですが、「花」には「華やかである、盛んであるといった見かけや特徴を『花』に例えていうこと」という意味もあります。
また、この慣用句において「添える」は、「そばにつける。一緒につける」ことを指します。
「華を添える」は間違い?
「花を添える」は、「華を添える」と表記しても間違いではありません。「華」には「まるで咲く花のように盛んである様子・はでなこと」などといった意味があります。
「花」の美しいイメージを表現した言葉とも言えるでしょうから、よりきらびやかな印象を与えたい時に「華」を用いるとよいかもしれません。
「花を供える」とは違う
間違えやすい言葉に「花を供える(そなえる)」があります。「供える」は「物を整えて差し上げる」ことを指します。
この事から、お墓や仏壇には「花を供える」という日本語が正しいとわかります。日本の仏教においては、ご先祖様へのお供え物として花を用意し、供えることが一般的です。
また「花を手向ける」という言葉もあります。主に葬式などで使われる言葉ですが、「手向ける」には「死者の魂に捧げものをする」という意味があります。
「添える」「供える」「手向ける」動作としては似ていますが、動作の意味合いは全く異なるため使い方に注意が必要です。
「花を添える」の使い方
「花を添える」は「美しい場面」に「美しい人・もの」を加えるというニュアンスで使われます。ただし、第三者が他者の行動に対して用いる表現であり、自分自身の行動に対して、自ら使用することは不自然です。
たとえば「有名人が卒業式に花を添えた」とすれば、「卒業式」という晴れ舞台に、「有名人」という華やかな人物が加わることで、より輝かしい式になったことが想像できますね。
例文
- 現役プロ野球選手のメッセージが野球部の壮行会に花を添えた。
- 聖歌隊の歌う賛美歌が、結婚式に花を添えてくれた。
- この素晴らしい台本で彼女が主役を演じてくれたら、錦上に花を添えること間違いなしだよ。
「錦上(きんじょう)に花を添える」…華麗な綿の上に美しい花を添えるように、美しいものにさらに美しいものを加えること。(王安石『即事』)
「花を添える」の類語
「彩りを添える」
「彩りを添える」とは「色をつけること」や「おもしろみや風情、華やかさなどを付け加えること」です。「彩」は「色取りをつける。飾りをつける」などといった意味を持ちます。
【例文】
- ブラスバンド部による見事な演奏は開会式に彩りを添えてくれた。
- 彼女の存在はクラスの演劇に彩りを添えてくれました。
「花を添える」を英語で
「花を添える」は日本語特有の比喩表現です。英語に訳すとすれば「the icing on the cake」という言い回しが適当でしょう。「icing」とは砂糖でできたペーストで、クッキーなどのお菓子をデコレーションするために使うものです。
美味しいクッキーに可愛らしいデコレーションがされていたら、さらに美味しく、より嬉しく感じますね。この様は「花を添える」の状態に良く似ています。
【例文】
He came to our graduation ceremony,and he sang the song for us.That was just the icing on the cake.
訳:彼は卒業式に来て、私達のために歌で花を添えてくれた。