「重い腰を上げる」の意味
年を取ると自然と立ち上がるのが難しくなってくるものです。そうでなくても、腰が重く感じて立ち上がるのが億劫になることがありませんか。「重い腰を上げる」とはまさにその様子を言葉で表した慣用句になります。
「重い腰」というのは比喩表現で「物事に対して意欲がわかずに面倒な気持ちが先行して、中々手を付けられない」様子を指します。また「上げる」という動詞を後ろに付けることで、「意思を持って手を付ける」という意味になります。
つまり「重い腰を上げる」は「意欲がわかず中々手を出せなかった物事に対してようやくとりかかる」という意味を持っています。
「重い腰を上げる」の使い方
「重い腰を上げる」は主にやる気のない人や面倒くさがりな人に対して使用します。もともと思った事はすぐに行動に移すという「腰の軽い人」には不釣り合いな言葉です。例文を用いて使い方を確認しましょう。
例文
- 学校内で次々に起こる不祥事に対して、学校側は重い腰を上げて謝罪会見を行うことを決定した。
- 何をお願いしても返事だけの旦那が、私の渾身の一言で重い腰を上げて話を聞いてくれた。
- 家族から外出を促され続けたお父さんはついに根負けし、重い腰を上げて支度にとりかかった。
- 責任問題を国会の場で追及されていた大臣は重い腰を上げて、今までの対応の甘さを謝罪した上で辞任を発表した。
「重い腰を上げる」の類語
「一歩を踏み出す」
「一歩を踏み出す」とは「一歩前へ出る・勇気を持って実行してみる」という意味があります。なかなか決断できない人や勇気が出せない人に「一歩踏み出してみろよ」とアドバイスすることは定番となっています。
「重い腰を上げる」は「周囲に促され仕方なく行動に移す」といったネガティブなニュアンスがありますが、「一歩を踏み出す」は「自ら行動して見る・やってみる」というポジティブさを感じる慣用句です。その点においては2つの慣用句は似て非なるものと言えます。
【例文】
- 私はいつも一歩を踏み出す勇気が持てず、壁にぶち当たった時は常に逃げてきた。
- 家族や先生の後押しがあったからこそ私は一歩を踏み出す勇気を持つことが出来たのだと思う。
- 一歩を踏み出すことは時として難しいことだけど、そうしなければならない場面は必ず訪れる。
「御輿を上げる」
「御輿を上げる」は「腰を上げて立つ・事に取り掛かる」という意味があります。「重い腰を上げる」のように物事に取り掛かるまでに時間を要する意味を付け加える場合には、「御輿を上げる」の前に「ようやく」や「そろそろ」といった言葉を添えると良いでしょう。
「御輿」を使った慣用句に「御輿を担ぐ」があります。一見すると「持ち上げる」も「担ぐ」も同じ動作じゃないかと思えますが、意味は全く異なるため注意しましょう。
ちなみに「御輿を担ぐ」は「他人をおだてる」という意味で、「よいしょ」と似た意味を持つ言葉です。
【例文】
- 今回のプロジェクトは面倒なことが多く誰もが牽制しあっていたが、やっと彼女が御輿を上げてくれた。
- 彼女は年末の大掃除が面倒で知らぬふりをしていたが、ようやく御輿を上げて部屋を綺麗にしはじめた。
- 子供同士のけんかに親が割って入るのはどうかと注視していたが、ついに御輿を上げて仲裁に入ることにした。