「知己を得る」の意味
「知己を得る」は「ちきをえる」と読みます。「知己」とは「自分の心をよく知っている人・親友・知人」という意味です。つまり「知己を得る」は「親友が出来る」ことを指しています。
「知己」の由来
「己を知る」=「知己」が、なぜ親友という意味になるのでしょうか?その由来は、中国の故事です。司馬遷の『史記 ー刺客列伝ー』に、「士は己を知る者のために死す」という言葉があります。これは次のようなエピーソードによるものです。
中国春秋戦国時代、晋の国の豫譲(よじょう)は、士官した先々で冷遇されてきましたが、智瑶(ちよう)だけは豫譲の才能を認め、国士として取り立てます。のちに智瑶が敗れると、豫譲は主君の仇の暗殺を再三試みて忠義を尽くしました。
「知己」は、もともとは、自分の埋もれた才能を知って取り立ててくれる主君を指していました。しかし、時代を経るにつれて、自分をよく知っていてくれる人=親友という意味に変わっていったのです。
「知己を得る」の使い方
- ある研修会で隣になった女性と話しをする内に、趣味嗜好が私に似ていたため知己を得たとその時感じた。
- 田舎から上京して友達が出来るか不安になっていたが、入学式で知己を得たと感じる人物がいたので楽しく生活できそうだ。
- 長年思いを馳せてきた男性とお付き合いすることになり、彼氏と知己を同時に得たことになった。
- 学生時代や社会人時代に多くの知己を得ることが出来たため、リタイアした今でもとても充実した生活を送ることが出来ています。
「知遇を得る」との違い
「知己を得る」を用いる時に、誤って「知遇を得る」と記す人がいます。この二つにはどのような違いがあるのでしょうか。「知遇」には「人格や識見を認めたうえでの厚い待遇」という意味があります。
「知己」が人物を表すのに対し、「知遇」は待遇を表します。よって「知遇を受ける」と言いますが、「知己を受ける」とは言いません。
「知己を得る」の類語
「親交を結ぶ」
「親交を結ぶ」とは「人や団体と良好な関係を結ぶこと・仲を深めること」を表します。知人以上の関係にはあるものの、「知己を得る」に比べると人と人の間柄は親密さは薄いニュアンスです。
【例文】
- 今日のセミナーで同世代の方々から刺激を受けると共に、親交を結ぶことに成功した。
- ゼミの先輩と親交を結んでいたので、私が卒業論文で悩んでいる時に手助けをしてくれた。
- 親交を結んでいる知人が骨折したというので病院に見舞いへ行った。
「交誼を結ぶ」
「交誼を結ぶ」は「こうぎをむすぶ」と読みます。「交誼」には「心の通い合う親しい交流・友好な関係」という意味があります。
親しい交流という点で「知己を得る」と類語であると言えます。通常「交誼」という言葉は友人同士で使うものですから、目上の方に対して使うには不向きです。
【例文】
- 私と彼女は交誼を結んでおり、困った時はお互いに助け合うようにしている。
- 彼はクラスメートの1人に過ぎないが、私は交誼を結びたいと考えている。
- 私と彼は交誼を結んでいるが、男女の仲という訳ではない。
「知己を得る」を英語で
「知己」は英語で「acquaintance」が使用でき、「知己を得る」は「Get acquainted」となります。
【例文1】
- When I entered a local university, I was worried about making friends. However, at the entrance ceremony, I got acquainted with the future.
- 地方の大学に入学した私は友達が出来るか不安だった。しかし入学式で将来の知己を得た。
【例文2】
- Getting acquainted with the company has turned my life into a fun direction.
- 会社で知己を得たことで私の人生は楽しい方向へ傾いた。
【例文3】
- I was the only one who thought I had got acquainted, and she didn't think anything.
- 知己を得たと思っていたのは私だけで彼女は何とも思っていなかった。