「異常をきたす」とは?意味や使い方をご紹介

「異常をきたす」の意味でつまづくとすれば、「きたす」の部分ではないでしょうか。「支障をきたす」など、同じような使い方の言い回しが複数あります。「きたす」が「来す」と分かれば、意味の予想もつきますね。今回は「異常をきたす」の意味と使い方をご紹介します。

目次

  1. 「異常をきたす」とは?
  2. 「異常をきたす」の使い方
  3. 「きたす」を使った他の表現

「異常をきたす」とは?

「異常をきたす」。日常会話ではほとんど使われることがありませんが、書き言葉ではよく登場する言い回しです。「異常」はごく一般的な言葉ですから、「異常をきたす」の意味がわかりづらいとすれば、「きたす」の部分によるといえるでしょう。

「異常をきたす」とは、いつもとは異なる悪い状態が生じること、あるいは、そのような状態を生じさせること、を意味する言い回しです。

理解をさらに深めるために、「異常」と「きたす」をそれぞれに詳しく解説しながら、この言い回しの意味を探っていくことにします。

「異常」の意味

「異常」(いじょう)は、常(つね)と異なる、という字のごとく普通や通常の状態から異なっていること、また、そのさま並外れた状態、またのさまを意味する言葉です。

「異状」という言葉もよく目にしますね。この二つは意味も似通っていて混同しやすいので、この機会に異なる点をしっかり理解しましょう。

「異常」は、常の状態からの「異なり」に重きが置かれています。「異状」は、常とは異なる「状態」のほうに焦点を合わせた言葉です。

その意味から、基本的に「異常」は、(異常に動き回る、異常な行動)などのような形容動詞的な使い方をします。その例外が、今回の「異常をきたす」という名詞的な用法です。

「異状」状態に焦点があっているので、(異状が生じた、異状を察知する)などの名詞的な用法が多くなります。

 

「きたす」の意味

「きたす」の漢字表記は、「来す」です。硬い表現なので、この言葉がつく言い回しは、日常会話ではあまり使われません。ニュースなどの改まった場、あるいは文章上で、耳にしたり目にしたりすることが多いですね。

「きたす」には、次の二つの意味があります。①ある状態を、結果として招く、生じさせる。②来るようにする。「異常をきたす」で使われるのは①の意味です。

「異常をきたす」の使い方

「異常」は、ノーマルでないことを表します。良いことも悪いことも、どちらの場合でも使われる言葉です。現代の話し言葉では、「異常に美味しいんだけど!」などとポジティブに使われる頻度も高いですね。

とはいえ、「異常」と表現するときは、ネガティブな使われ方が圧倒的に多いといえます。ちなみに、「異状」はネガティブなことにしか使われません。

「きたす」は、辞書によっては、好ましくない状況に用いられることが多い、とあるように、「異常をきたす」はネガティブな変化を意味する言い回しとなります。

「異常をきたす」の文例

  • 地球温暖化の影響によって、氷河が異常をきたして溶けはじめている。
  • 長年使っていたパソコンが異常をきたし、フリーズする頻度がとても高くなっている。
  • 東京マラソンで完走したが、結果として足首に異常をきたし病院通いとなってしまった。

「きたす」を使った他の表現

「支障をきたす」の意味と使い方

「支障をきたす」とは、都合の悪い事態が起こること、差しさわりがあること、あるいはそのような状態をもたらすこと、を意味する言い回しです。

【文例】部内でインフルエンザが流行り、現在50名中15名が欠席となって、全体の業務にも支障をきたしはじめた。

「変調をきたす」の意味と使い方

「変調」は、それまでの調子が変わること、調子を変えること、調子が狂うこと、などを意味する言葉です。

したがって、「変調をきたす」は、ものごとや何らかの状態において、それまで続いてきた一定の調子が変わってしまうことを意味します。

【文例】富士山の頂上に近づくにつれ、しだいに息切れがしてきて、足の動きも変調をきたしたので、一時間ほど座って休憩をとった。

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