「等々」とは?
「等々」(などなど・とうとう)とは、並べて列挙した複数の言葉の後ろに添えて、それに類するものが他にもあることを示す言葉(接尾辞)です。
「々」は踊り字と呼ばれ、直前と同じ漢字の繰り返しを示す符号です。すなわち、「等々」は「等等」と、「等」を二度繰り返した言葉だというわけですね。
「等」の意味
「等」(など)は、「何」に助詞「~と」(状態・指定)が付いた表現が転じてできた言葉です。現代では、「などと」という言葉に原型を見ることができます。
「等」は、助詞(副助詞)的に、必ずある言葉に付属して、以下のような意味を表します。
- それに類するものが他にもあることを示す。(例:この子は猫や犬等、かわいい生き物が好きなのだ)
- それだけに限定せずやわらげて言う。(例:お水等いかがですか?)
- 大体そんなこと、の意を表す。(例:彼は君について心が狭い等と不満をもらしていたよ)
- (多くは否定を伴って)その価値を低めて言う。(例:僕のこと等気にしないでください)
「等々」は、このうち1番目の「等」の意味(下線部)が繰り返され、強められた表現です。(2~4番目の意味は含まれません)
「等々」の使い方
「等々」は、必ず複数の物事を列挙したあとで、それと同種・同様・同類の物事が他にも複数あることを示すために使います。読み方は、「とうとう」と「などなど」、どちらでも構いません。
説明と例示のために使う
「等々」の基本的な使用シーンとしては、何かを説明する場合、その中でもとくに「例示」を説明手段として用いる場合です。
例えば、「ペットとは何か?」を説明する際、「犬や猫」という例示はわかりやすいですね。しかし、「ペット」の条件を満たす可能性がある動物は他にも多数おり、人によっても考えが違います。「ペット」に属する動物を余さず列挙するのは現実的ではありません。
こうした時、ペットに含まれる代表的な動物を列挙して説明の妥当性を確保しつつ、「他にもそれに類するものがある」という形で無謬性(むびゅうせい:誤りがないこと)を担保するのが、「等々」の役割です。
ある集合の全要素を列挙できる場合は使用不可
「等々」を使う際に注意したいのは、ある集合に含まれる全要素を列挙できる説明には使えないという点です。
例えば、「四季には春、夏、秋、冬等々がある」という説明は、「春夏秋冬以外にも四季に含まれる要素がある」と言っているに等しいため、明らかな誤りです。
公的な文書などでこのような誤りを犯すと、本来あるべき物事の仕組みやルールが曲解されて適用されてしまう危険もあるため、安易に「等々」を用いないようにご留意ください。
例文
- 雪山登山に必要なものはいろいろあるよ。防寒具、登山靴、非常食、ピッケル、等々…。
- 休日はいろいろやることがあるんだ。家の掃除、趣味、家族サービス、睡眠、等々。
「等々」の英語表現
「等々」の英語表現としては、以下のような単語・表現があります。
- and so on
- and others
- etc.(&c)
基本的に、物事に対しては「and so on」を、人に対しては「and others」を用いましょう。
最後の「etc.」はラテン語「et cetra」(エトセトラ)に由来する略語で、基本的には専門書や商業分野などで使う符号ですが、一般的なものにも使われることがあります。
例文
- She has many seasonings. Salt, pepper, garlic and so on.(彼女はたくさんの調味料を持っている。塩、コショウ、にんにく、等々)
- I like apples, oranges, etc.(ぼくはリンゴ、オレンジ等々が好きだ)
地名「等々力」について
「等々力」(とどろき)とは、東京都世田谷区と神奈川県川崎市にまたがる地域の名前です。
「等々力」の名の起源は、この地域にある渓谷(等々力渓谷)に流れ落ちる滝の音(「轟き」(とどろき))に由来するという説がありますが、詳しいことはわかっていません。
ここまでご紹介してきた「等々」とはまったく別の言葉ですので、うっかり「とうとうりき」などと読まないようにご注意ください。