「その実」とは?意味や使い方を分かりやすく解説

「その実」という言葉、日常生活で使ったことはありますか?一見すると少し堅苦しく感じるかもしれませんが、実は会話に深みを与える便利な表現なんです。若い世代にはあまり馴染みがないかもしれませんが、知っておくと表現の幅が広がる素敵な言葉ですよ。

その実とは?その実の意味

「本当は」「実際には」という意味を持つ接続詞的な表現

その実の説明

「その実」は、表面的な印象や事前の予想とは異なる真実を述べるときに使われる言葉です。例えば「彼は冷静に見えるが、その実、内心はとても緊張している」のように、前の文で述べられた内容とは対照的な真実を導く役割を果たします。読み方には注意が必要で、「そのじつ」と読む場合は「本当は」の意味ですが、「そのみ」と読むと「そこにある果実」という全く別の意味になってしまいます。文章の流れや文脈から正しく読み分けることが大切です。

ちょっとレトロで知性的な響きが素敵な言葉ですね。会話に取り入れると、一味違った雰囲気を出せそうです。

その実の由来・語源

「その実」の語源は、古語の「実(じつ)」に由来します。「実」は「真実」「本当のこと」を意味し、そこに指示語の「その」が組み合わさって「その真実は」という意味合いで使われるようになりました。江戸時代後期から明治時代にかけて文章語として定着し、特に改まった場面や文学作品で使用されることで、現代まで受け継がれてきた歴史的な表現です。

古風ながらも、物事の本質をズバリ言い表す力強い表現ですね。知的な会話にぴったりです。

その実の豆知識

「その実」と似た表現に「実は」がありますが、両者には微妙なニュアンスの違いがあります。「その実」は前の文を受けて「しかし実際には」という逆接的な意味合いが強いのに対し、「実は」は単に「本当のことを言うと」という告白や打ち明けのニュアンスが特徴的です。また、読み間違いに注意が必要で、「そのみ」と読むと全く別の「そこにある果実」という意味になってしまう面白い特徴があります。

その実のエピソード・逸話

作家の夏目漱石は作品の中で「その実」を効果的に使用していました。『吾輩は猫である』では、表面上は紳士的に振る舞う人物が「その実、たいへんずる賢い」などと描写され、人間の本質を鋭く描き出しています。また、政治家の原敬は日記の中で、表面上は協力的に見える人物について「その実、腹の中では反対を考えている」と記しており、人間観察の鋭さを感じさせるエピソードが残っています。

その実の言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「その実」は「接続詞的機能を持つ副詞」に分類されます。文と文をつなぐ役割を持ちながら、同時に後続の文に「実際には」という意味的制約を与える特徴があります。また、この表現は「予想や外見と実際の違い」を表現する「対比のマーカー」として機能しており、日本語の豊かな表現体系の中でも特に論理的展開を明確にする役割を担っています。歴史的には文語的表現として発達しましたが、現代でも書き言葉を中心に生き残っている貴重な言語表現の一つです。

その実の例文

  • 1 友達からは『いつも冷静だね』と言われるけど、その実、内心ではいつもドキドキしてばかりなんだ。
  • 2 SNSでは楽しそうな旅行の写真ばかり投稿しているが、その実、飛行機が怖くて移動中はずっと目を閉じていた。
  • 3 仕事ができるように見せているが、その実、家に帰るとぐったりして何もできないのが毎日の現実です。
  • 4 みんなからは『よく食べるね』と言われるけど、その実、ダイエットのことでいつも頭がいっぱいなんだよね。
  • 5 周りからは『いつも余裕そうだ』と言われるが、その実、締切前日は必死で作業しているのが本当のところだ。

「その実」と類似表現の使い分け

「その実」にはいくつかの類似表現がありますが、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。適切に使い分けることで、より正確な表現が可能になります。

表現意味使用場面例文
その実前の内容と対比的に真実を述べる文章語、改まった場面穏やかに見えるが、その実、芯が強い
実は単に真実を打ち明ける日常会話全般実は、昨日誕生日だったんだ
実際には事実としての真実を述べる説明や報告計画では順調だが、実際には遅れている
本当のところ本心や本音を述べる親しい間柄の会話本当のところ、少し不安なんだ

特に「その実」は、前の文で述べられた内容と明確に対比関係がある場合にのみ使用するのが特徴です。この点が他の類似表現との最大の違いと言えるでしょう。

文学作品における「その実」の使用例

「その実」は文学作品で効果的に使用されることが多く、登場人物の本質や物事の真相を読者に伝える重要な役割を果たしてきました。

彼は表面上は温和な紳士のように振る舞っていたが、その実、たいへん狡猾な策略家であった。

— 夏目漱石『こゝろ』

町は静かに見えたが、その実、人々の心には深い悲しみが渦巻いていた。

— 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』

これらの例からも分かるように、「その実」は外見と内面の対比を描く際に特に効果を発揮します。読者に意外性や深みを与え、物語にドラマティックな要素を加えることができるのです。

現代における「その実」の使用実態

現代の言語使用において、「その実」はどのような場面で使われているのでしょうか?実際の使用例からその実態を探ってみましょう。

  • ビジネス文書:報告書や企画書で「市場は好調に見えるが、その実、潜在的なリスクがある」などのように使用
  • ニュース記事:社会問題の報道で「表面は平穏だが、その実、深刻な状況が進行している」などの表現
  • SNS:インフルエンサーが「幸せそうに見える投稿ばかりだが、その実、普通の悩みもたくさんある」と本音を語る場合
  • 学術論文:研究結果について「予想とは異なり、その実、逆の結果が得られた」などの客観的記述

このように、「その実」はくだけた日常会話ではあまり使われないものの、書き言葉や改まった発言では依然として重要な表現として生き続けています。特に、事実と印象のギャップを明確に伝えたい場合に重宝される表現です。

よくある質問(FAQ)

「その実」と「実は」の違いは何ですか?

「その実」は前の文の内容を受けて「しかし実際には」と逆説的に真実を述べる際に使います。一方「実は」は単に「本当のことを言うと」と打ち明けるニュアンスで、必ずしも前の内容と対比させる必要はありません。例えば「忙しそうに見えるが、その実暇なんだ」は自然ですが、「忙しそうに見えるが、実は暇なんだ」は少し違和感があります。

「その実」をビジネスシーンで使っても大丈夫ですか?

はい、問題なく使用できます。特に報告書やプレゼンテーションなどで「一見すると好調に見えるが、その実、内部では課題が山積みである」のように、表面と実態の違いを説明する際に効果的です。ただし、やや硬い表現なので、カジュアルな会話では「実際には」や「本当は」を使う方が自然です。

「その実」を英語で表現するとどうなりますか?

「in reality」や「actually」が近い表現です。また「but in fact」や「however, the truth is」なども適切な訳と言えます。例えば「彼は強そうに見えるが、その実とても優しい」は「He looks strong, but in fact he is very kind」と表現できます。文脈によっては「contrary to appearance」も使えます。

「その実」を使うときの注意点はありますか?

読み方に注意が必要です。「そのじつ」と読む場合と「そのみ」と読む場合で意味が全く異なります。また、前の文と後の文の内容に対比関係があることが前提です。例えば「彼は真面目そうに見える。その実、勉強が好きだ」のように、対比になっていない文では不自然に聞こえるので注意しましょう。

「その実」は若者でも使う表現ですか?

日常会話ではあまり使われませんが、文章を書く際や改まった場面では年齢問わず使用できます。若者の間では「マジは」「実際ガチで」などのくだけた表現が好まれますが、知的な印象を与えたいときやビジネスシーンでは「その実」を使うことで洗練された印象を与えられます。