「履き違える」とは
「履き違える」という言葉には、「まちがえて他人の履物を履くこと」以外に、「意味や内容をとりちがえて考えちがいをすること」という意味もあります。
前者は、単語が表す意味そのままですね。後者は、「まちがえて他人の履物を履いてしまう。」という様子を例えとする比喩的な意味となっています。「意味や内容をとりちがえた考えや行為」を「履き違える」という一つのフレーズで表現しているのです。
「履き違える」の使い方と例文
- 退館の際は靴を履き違えないように注意してください。
- たくさんの靴が下駄箱に入っていたため、靴を履き違えてしまった。
- 建物に入る際には上履きに履き替えるため、靴を履き違える事例が多くなっている。
- 彼らの行動はあまりにもひどすぎる。彼らは自由の意味を履き違えているのだ。
- 彼の主張には違和感がある。本来の趣旨を履き違えて理解しているからだろう。
1から3は、「履物をまちがえて履いている」という意味からの例文です。4から5では、「履き違える」を「意味や内容をとりちがえた考えや行為」という意味で用いています。
「履き違える」の類義語
「履き違える」の類義語には、さまざまな慣用句や熟語があります。いずれも共通していることは、「意味や内容をとりちがえて考えちがいをすること」という意味です。
「履き違える」の類義語の慣用句や熟語は、それぞれの意味は概ね同じであっても、次に紹介するようなさまざまな表現があります。
慣用句
- 勘違い:思い違いをすること。
- 心得違い:思い違い。誤解。
- 取り違える:まちがえて理解すること。誤解すること。
- 早飲み込みする:物事を早く理解すること。早く納得しようとして正確な理解を得ていないこと。
- 思い違いをする:勘違いをすること。
熟語
- 曲解:物事や他人の言動をわざと曲げて解釈すること。
- 誤解:事実や言葉などを誤って理解すること。
- 早合点:十分に理解していないうちにわかったと思い込むこと。
- 錯誤:まちがい。事実とそれに対する人の認識が一致しないこと。
- 過誤:あやまち。やり損じ。
「履き違える」が使われた記事
「履き違える」は、新聞や雑誌、テレビなどのマスメディアにもよく登場します。2019年にも、下の例をはじめたくさんの記事で使われています。
〃そこを理解せず、男気の意味を履き違え昔ながらの「親分子分の仁義」を貫き退団を決めた経緯に違和感が残った。〃
2019年10月5日 THE PAGE
〃加納さんは「笑いと履き違えた、最低な発言であったと今更ながら後悔しています。」、村上さんは「多くの人を傷つける発言をしてしまいました。」などと記した。〃
2019年9月25日 朝日新聞
2013年9月21日 産経WEST
「履く」と「穿く」
「履き違える」は、「穿き違える」とも表記されます。「履く」と「穿く」、どちらも読みは「はく」です。意味の違いを簡単に紹介しておきましょう。
- 「履く」:履物を足につけること。靴や靴下をはくこと。
- 「穿く」:衣服などを足先を通して下半身に身につけること。ズボンや袴(はかま)をはくこと。
「履物や靴下」と「ズボンや袴」身に着けるものによって、それぞれ「履く」、「穿く」の漢字を用います。