「遠い目」とは?意味や使い方をご紹介

読書やネットサーフィンで「なんだか遠い目をしている」や「あのころは若かった(遠い目)」という文をみたことありませんか?「遠い目」とは一体どんな目なのでしょう?ここではその意味や使い方を説明します。「遠目」や「空ろ目」との比較も紹介します。

目次

  1. 「遠い目」とは
  2. 「遠い目」と「遠目」の比較
  3. 「遠い目」の類語

「遠い目」とは

過去を振り返っている

「遠い目」は過去を振り返ったり思い出話をしている時の目つきやまなざしを表します。今ここではないところ、現在から遠く離れた昔を見ているのです。

鏡を見なければ自分の目を見ることができないので当たり前ですが、自分以外の人にしか使いません。どうしても自分に使いたい場合には「きっと、遠い目をしているだろう」のように推量形をとると良いでしょう。

小説では「遠い目をしている」と書かれますが、ネット上では「あの頃は若かったなぁ(遠い目)」のようにかっこ書きで文末に加えることが多いです。懐かしい気持ちでいるという感情表現ですね。

【例文】

  • 遠い目をしておばあちゃんが昔話を語り始めた。
  • 彼女の話をするとき彼はいつも、何かを懐かしむような遠い目を浮かべている。
  • あいつ、今どうしてるんだろう(遠い目)

考え事をしている

「遠い目」は考え事をしていたり、現実逃避しているときの目つきとしても使われます。はるか遠くにある遠景や幻想に目をやることで、眼前に広がる現実から目をそらしているということです。

重要な古文単語のひとつに「ながむ」というものがあります。その意味は、景色を眺めることだけかと思いきやぼんやりと物思いにふけることです。「遠い目」も同じく、現実から遠いところに思いをはせる、意識はここにはないという意味で使われることがあります。

【例文】

  • 深く物思いに沈んでしまい、声をかけても遠い目をしたまま動かない。
  • 白昼夢でも見ているのだろうか、遠い目をしてなにか呟く姿は危なげだ。
  • あそこではしゃぐ女は知らない人です、とばかりに少し遠い目で空を仰いでいる。

「遠い目」と「遠目」の比較

「遠い目」と「遠目」。「い」があるかないかという小さな違いしかありません。しかし、意味は大きく変わります。比較してみましょう。

「遠目」とは遠くから見ることです。物理的な距離感、メートルで表せる距離だけがあることを表します。対して「遠い目」は時間的な距離や心理的な距離がある、過去や頭の中のイメージを「見ている」状態です。

「遠い目」の類語

懐古の念

過去をなつかしむことは「懐古(かいこ)」ともいいます。懐かしいもの好きの人を「懐古趣味」といったりしますよね。昔の時代を懐かしむ、思い出を愛おしむ気持ちは「懐古の念」や「懐古の情」と呼ばれます。

誤解を招きやすいのですが、「懐古」は自分がかつて体験した過去だけを指すとは限りません。「antique(アンティーク)」な調度品のように、遥かな過去のことを指すこともあります。

「懐古」は英語で「nostalgia(ノスタルジア)」です。カタカナで「ノスタルジー」や「ノスタルジック」とも。「retrospective(レトロ)」とも言います。なお、アンティークとは純粋な骨董品で、レトロは雰囲気だけです。

空ろ目

「空ろ目」とはぼんやりと虚空を眺めるような目、焦点のあっていない目のことです。物思いにふけっている心ここにあらずな状態から、精神的なショックによる無気力やうつ状態などに使われます。洗脳状態を表すことも。

漫画やアニメでは塗りつぶしの目を指すこともあります。ベタぬりしたような目なので「ベタ目」とも言います。また、「空ろ目」は光やハイライトのない目を指すという意見もあります。「レイプ目」とも呼称されます。

やる気のない、諦めた心理には「死んだ魚のような目」「腐った目」という言葉が使われることも多いです。とはいえ、基本的には大きな違いはありません。ぼんやりしているなら「空ろ」、ダメになっているなら「腐った」でしょうか。

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