「是非もなし」とは?意味や使い方をご紹介

「是非(ぜひ)もなし」は、主に「やむを得ない」とか「仕方がない」という意味で使用される言葉です。日常的に使われることはあまりありませんが、織田信長の台詞として記憶に残っている方もいるかもしれません。ここではその意味や用法について紹介します。

目次

  1. 「是非もなし」とは
  2. 「是非もなし」の用法
  3. 「是非」を使ったその他の表現
  4. 織田信長の「是非に及ばず」
  5. まとめ

「是非もなし」とは

「是非もなし」の字義

「是非もなし」の「な(無)し」は、「な(無)い」の文語(歴史的)表現です。

また、「是」は道理にかなっていること、正しいことを指します。「非」は反対に、道理に合わない、間違ったことを指します。「是非」と合わせて使うことで、物事の「正・不正」「善・悪」「良し・悪し」どちらも含めた意味になります。

「是非もなし」の意味

そのため「是非もなし」の字義通りの意味は、「正不正を決めかねる」「良いも悪いもない」「善悪の判断がつかない」といったものになります。ここから転じて「やむを得ない」「仕方がない」という意味になりました。善悪の判断ができないのだから、議論の余地はない。そうするより他に手はない、というわけです。

「是非もなし」の用法

使用例としては、「これ以上交渉は望めませんね。是非もなしです」とか「誰がどう見たって彼の関与は明らかだ。是非もヘッタクレもあるもんか」といった風に使います。あまり、日常的な表現ではありませんね。

ちなみに、「是非もない」は慣用表現となりますので、「是非がない」とか「是非はない」といった使い方をすることは一般的ではありません。(慣用表現ではなく「是非」という言葉を単体で使用する場合にはありえますので、間違いではありません)

同じ内容を示す慣用表現としては「是非ない(是非なし)」や「是非に及ばず(叶わず)」などがあります。

「是非」を使ったその他の表現

「是非」は「物事の善悪」を意味する言葉ですが、ここではさらに理解が深められるように、「是非」を用いた表様々な現について解説します。

「是非」

「是非やり抜くつもりだ」とか「是非お越しください」といった場合の「是非」は、「どうあっても」、「なにがあっても」という意味になります。「良かろうが悪かろうが構わない」くらい強い気持ちを表した表現で、「是非とも」や「是非是非」といったさらに強調した表現もあります。

「是非を論じる(問う)」

「是非を論じる(問う)」といえば、「物事の善悪(正否)について議論する(質問する)」という意味です。「是非もなし」や「是非に及ばず(叶わず)」とは正反対の表現となります。

「是が非でも」「是非も知らず」

「是が非でも」というと、「何が何でも」という意味になります。「是が非でも手に入れてやる」というような使い方をします。

「是非も知らず」は『宇治拾遺物語』にも用例の見える古くからある表現で、意味は「何もわきまえず、我を忘れて夢中になって」となります。

「是々非々」

「是々非々」は、日本の政治家がよく使っているのを耳にする言葉です。元は中国の古典である『荀子』に由来する四文字熟語で、「是を是とし非を非とす、これを知といい、是を非とし非を是とす、これを愚という」とあるとおり、「良いことは良い、悪いことは悪いとする公平さ」を意味します。

織田信長の「是非に及ばず」

さて、日本の戦国〜安土時代を代表する武将である織田信長は、「本能寺の変」において明智光秀に急襲された際「是非に及ばず(もしくは是非にあらず)」と言ったと伝えられています。

信長公記の記述

信長が「是非に及ばず」と言ったことを現代に伝えるのは、彼の旧臣であった太田牛一の書いた『信長公記(しんちょうこうき/のぶながこうき)』です。同書第15巻(最終巻)によれば、
 

「是れは謀叛か、如何たる者の企てぞと、御諚のところに、森乱申す様に、明智が者と見え申し侯と、言上侯へば、是非に及ばずと、上意候」

とあります。

「是非に及ばず」の解釈

この文章の解釈にはいくつかの説があるようです。

ひとつは、信長は敵が部下の光秀と知り、思わず「どうしようもない」と悟ったというもの。また、今まで光秀に自分がしてきたことを思い返せば「仕方がない」というもの。もしくは、「上意(命令)」とあることから考えると、敵が光秀だろうと「良いも悪いもない」のだから、要するに出て行って戦えという意味だったとする説もあります。

まとめ

このように「是非もなし」は、「あきらめ」の気持ちとともに「ひらきなおり」の感じもある、一種の「境地」に立った言葉であると言えるでしょう。あまりに多忙な時や、精神的に追い詰められた時、「もうどうにでもなれ」というやけっぱちの気分になった際には、使ってみるのも一興かもしれません。


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