「晩節を汚す」とは?
「晩節を汚す」とは、「人生の終わりの頃に失態をおかして名誉を汚す」という意味です。
ここで言う「人生」には社会的人生のニュアンスがあり、必ずしも老年期を指すわけではありません。これまでの人生で十分に活躍し高い評価を得てきたのに、それを覆すような言動や行動によって、築いてきた社会的評価や名誉を失ってしまうことという使い方が一般的です。
国を支え続けてきた政治家が汚職事件で辞任をする、金メダルをとったアスリートが詐欺で逮捕されるなど、今までの功績を無にしてしまうような失態を批判する際に「晩節を汚した」と表現されます。
読み方
「晩節を汚す」は、<ばんせつをけがす>と読みます。「汚す」は一般に「よごす」とも読みますが、この慣用句では「けがす」が正しい読みですのでご留意ください。
「晩節を汚す」:使い方
- これ以上晩節を汚すことがないように、早々に辞任すべきだ。
- 彼女は有名なアスリートであったが、今は犯罪に手を染め、晩節を汚す行動を繰り返している。
- 彼は優秀な経営者だったが、今となっては時代遅れな古い考えの持ち主で、晩節を汚すような言動が目立つ。
- 晩節を汚すことのないように、今が引き際であると考えた。
- 晩節を汚すことは、今までの人生さえも汚してしまうようなものだ。
晩節を汚した有名人
タイガー・ウッズといえば、知らない人はいないほどの名プロゴルファーです。天才と呼ばれていましたが、女性スキャンダルにより、その名誉は地に落ちました。このような状況を「晩節を汚す」といいます。
テレビタレント、ビートたけしの離婚問題も一時期たいへん話題になりました。その失態によって多くの女性を敵に回し、テレビの仕事が減っていったといわれています。
もちろん当人同士の問題なので真相はわかりませんが、週刊誌などでは「晩節を汚す愛人」などと報じられていました。
人間はどうしても欲深い生き物であるといわれており、この世の中にはさまざまな誘惑が満ち溢れています。晩節を汚すことなく、穏やかに過ごすためには、ある程度欲望を抑制することも必要となるでしょう。
「晩節」「汚す」:それぞれの意味
晩節
「晩節(ばんせつ)」とは「晩年(一生の終わりの頃の時期)」「季節の終わり」「末の世」「晩年における節操」のことを意味しています。生きてきた人生のうちの最後の方という意味で、主に老年期を指します。
「晩」には「夜」という意味の他にも「晩秋(秋の終わり頃)」などにも使われ、「終わり頃」という意があります。「節」は時間的な意味合いを持ち、「晩節」で「終わり頃の時期」という意味になります。
【使い方】
- 夫婦一緒に晩節を楽しもうと思う。
- 晩節を全うするには、自分に誇りを持って生きることが重要だ。
汚す
「汚す(けがす)」とは「穢す(けがす)」とも言い換え、「美しいものを汚くすること」「名誉や名声に傷をつける、そこなう」という意味を持ちます。
【使い方】
- これ以上、家名を汚すようなことはしないでくれ。
- 彼の行動は、会社の名を汚すこととなった。
「晩節を汚す」:類語
失脚
「失脚(しっきゃく)」とは、足を踏みはずすという意から「地位や立場を失うこと」を表します。悪い行いをして立場を追われたり、他人によって陥れられて地位を失うことを意味しています。
【使い方】
- 彼は人気の政治家であったが、汚職が明るみに出て失脚した。
- 前年度の新事業の失敗が原因で、社長の地位から失脚した。
失墜
「失墜(しっつい)」とは「名誉や信頼を落として、失うこと」を意味しています。
【使い方】
- 権威を失墜してしまわないように、常に厳しい態度で過ごす。
- 彼は、みんなに嘘をついて信頼を失墜させた。