目次
「目から鼻に抜ける」の意味
「目から鼻に抜ける」は、頭の回転が非常に早くすぐに理解する様子を表す言葉です。また、抜け目がなくすばしこい様子も意味します。
「目から鼻に抜ける」の例文・用例と使い方
では、「目から鼻に抜ける」がどのように使われているのか、例文や用例を見てみましょう。
「目から鼻に抜ける」の例文
- 田中先輩は、目から鼻に抜けるような才人で仕事がしやすい。いちいち細かく説明しなくても、すぐに状況を察して対処してくれるからだ。
- 兄は幼いころから、目から鼻に抜けるような子供で、将来が楽しみだと親戚中に期待されていたそうだ。
「目から鼻に抜ける」の用例
「目から鼻に抜ける」は、森鴎外の小説の一節にも用いられています。
森鴎外『じいさんばあさん』
これは、るんというおばあさんがどんな人物だったかを説明した一節です。これらの用例や例文から分かるように、「目から鼻に抜ける」は、非常に賢い人に対してその賢明さを褒める際の例えとして使われています。「目から鼻へ抜ける」も同じように使われます。
「目から鼻に抜ける」の由来
「目から鼻に抜ける」の由来には、諸説あるようです。ここではその一つをご紹介します。
大仏の「目から鼻に抜ける」
『明鏡ことわざ成句使い方辞典』によると、その昔、落ちてしまった大仏の目の修理をした職人が、目をはめてから、鼻の穴から外へ脱出したことが「目から鼻に抜ける」の由来とされています。
職人は、目をはめこんだため目の部分から外へは出られなくなったのですが、そのピンチから一転、鼻の穴から抜け出るという機転をきかせたと言います。
その賢さが「目から鼻へ抜ける知恵」と称され、「目から鼻に抜ける」という表現ができたと言われています。
絵で見る「目から鼻に抜ける」
幕末期の歌川芳盛の版画『浮世多登恵(うきよたとえ)』を見てみると、「目から鼻に抜ける」の絵として、巨人の顔と小さな人物が描かれています。
小さな人物は、巨人の顔に目から入ったようで、巨人の目からは二本の足がにょっきり出ています。また小さな人物の上半身は、巨人の鼻の穴から外に飛び出ており、前に進もうとするかのように手を伸ばしている様子が描かれています。
「目から鼻に抜ける」の類語
【一を聞いて十を知る】
話の一端を聞いただけで、全体を理解する、という意味です。理解が非常に早く、聡明であることのたとえです。
「目から耳に抜ける」とは
「目から鼻に抜ける」と似たような形を持つ表現に、「目から耳に抜ける」があります。
「目から耳に抜ける」は、ただ何かを見ただけで何も覚えておらず、何も身についていない、という意味です。両者の形は非常によく似ていますが、「鼻に」が「耳に」にかわっただけで、意味が大きくかわるので、注意が必要ですね。
「目から鼻に抜ける」の英語表現
- to be as sharp as a needle(針のように鋭い)
「目」「鼻」が含まれる表現
「目」「鼻」が含まれる表現は他にも多くあります。ここではそのいくつかをご紹介します。
「目」と「鼻」が含まれる表現
- 【目と鼻の先】ごくわずかしか離れていないこと。
- 【目鼻が付く】物事の見通しがほぼ立つこと。
- 【目糞鼻糞を笑う】自分の欠点には気づかず、他の人の欠点を笑う事の例え。
「目」が含まれる表現
- 【目から火が出る】頭や顔を強く打ち、目の前にチカチカと光が走るような感じ。
- 【目から鱗が落ちる】何かのきっかけにより、それまで全く分からなかった物事が急によく理解できるようになること。
- 【目が高い】鑑識眼、物をみる目が優れている。
「鼻」が含まれる表現
- 【木で鼻をくくる】相手からの相談などに対し、そっけない態度、冷淡な態度で接すること。
- 【鼻が高い】得意な様子、誇らしげな様子。
- 【鼻で笑う】相手を見下したような、軽蔑した態度をとる。