「水と油」とは
水と油を混ぜると、油は水の上に浮いてしまって混ざらないというのはよく知られています。水は色々なものを溶かして水溶液を作る性質がありますし、水と油は共に液体なので似ていように思われるかもしれませんが、分子レベルで見れば、まったく違っていて混ざらないのだそうです。
水と油の性質を言葉で表現すると、「水と油」は混ざらない、交わらない、反発しあう、といえます。
「水と油」の意味
「水と油」は慣用句として使われたとき、「性質が合わず、一緒にならない事柄」という意味になります。特に人間関係で使われることが多く、その場合「相性が悪く、折り合えないほど仲が悪い」「どうにもしっくりこない間柄」になります。
水と油は界面活性剤を入れる等、科学処理をしない限り混ざりませんので、単に相性が悪いより、大げさに言うならば、「人間として本質的に相容れない」等、徹底した意味合いになります。
様々な言葉で言い換え可能ですが、「水と油」はとてもシンプルで使い勝手がいいので、色々なシーンで使われています。「水と油」でピンとこない方も、同義語と比較したり、例文でご紹介しますので、この機会に使い方をマスターしてくださいね。
「水と油」を使った例文
- ただ信じることを求める宗教と、証明に論理的根拠が必要な科学は、水と油といえるかもしれないが、両者の違いはわずかだという科学者もいる。
- あの二人は水と油の関係だから、忘年会の時、席を離したほうがいいね。
- あいつとはいつも意見が違ってまとまらない。考え方がまるで違うんだ。あいつと俺は水と油だから仕方がないと思うしかない。
- あの二人は性格が正反対で、水と油のようだ。
間違いやすいのですが、必ずしも水と油=性格が正反対ではありません。性格が正反対でも親友だという例もあります。
「水と油」の類語
「水と油」の代わりに使える言葉として、「そりが悪い」や「犬猿の仲」があります。「不倶戴天」も同義語として挙がる場合がありますが、似ているようで違います。
「そりが悪い」と「水と油」
同義です。そりが悪いは、「水と油」の意味のひとつにも挙げられます。そりが悪い=相性が悪いで、それ以上の意味はありません。「水と油」より穏やかな関係のとき使いましょう。
「犬猿の仲」と「水と油」
「犬猿の仲」も意味は相性が悪いですが、「お互い敵視する関係」であり、ケンカしている状態という意味が強く含まれています。
現代では、犬と猿の仲良し画像や動画が出回っていて腑に落ちないかもしれません。しかし、昔の人は犬は番犬や猟犬として飼っていて、猿から農作物を守るために犬をけしかけていたため、犬と猿は仲が悪いというイメージができたのでしょう。会うと必ずケンカになるような関係なら「犬猿の仲」の方が適しています。
「不倶戴天」と「水と油」
「不倶戴天」の意味は、「天の下に共に生きていたくないと思うほど、相手に恨みや憎しみを持っている」です。いうなれば「敵視」であり、関係性というより一方的な感情を表していて、「水と油」の代わりに使うことはできません。
「水と油」の英語表現
英語でも、「水と油」は日本語と同じ意味で使われています。
二人は水と油のようだ
- The two are like oil and water.
日本語の「水と油」ではなく、「油と水」と、油(oil)が先に表記されますので、書き間違いに気をつけてください。
「水と油」のまとめ
「水と油」の関係にならずに皆分かり合えたらいいのですが、人間ですのでそうもいきません。しかし、スノードームは水と油の混ざらない性質を利用して作られたものですし、背脂ラーメンは油が水に浮く性質を利用した食品です。ドレッシクングもそうで、よく振って混ぜ合わせるとサラダがおいしく食べられます。「水と油」のように、違った人間がいるから多様なものが生まれ、世の中おもしろいのかもしれませんね。