蟷螂
どちらの漢字も虫へんで構成されている「蟷螂」という言葉。この言葉自体はあまり見かけることがないかもしれません。しかしこの「蟷螂」が表している昆虫は、身近に存在しており、誰もが1度は見かけたことのある昆虫なのではないかと思います。今回は、そんな「蟷螂」の読み方や意味、そして「蟷螂」を使った言葉や名称について紹介します。
蟷螂の読み方
とある昆虫を表す「蟷螂」という言葉。気になる読み方ですが、「かまきり」と「とうろう」という2つの読み方があります。一般的には「かまきり」と読む「蟷螂」ですが、「蟷螂」を使った言葉や名称では「とうろう」と読む場合も多いので、どちらも覚えておくと良いでしょう。
蟷螂の意味
「かまきり」という読み方の「蟷螂」。意味もその通り、日常でも見かけることのある昆虫「カマキリ」のことを意味しています。「蟷螂」とは、「カマキリ目の昆虫の総称」で、頭は三角形、色は緑色または褐色です。前肢には鎌状の捕獲肢を持っており、このことから「鎌切」と表記されることもあります。他にも「螳螂」と表されることもあります。
また、「蟷螂」には「カサゴ目カジカ科の川魚。アユカケの別称。」という意味も持っています。
蟷螂を使ったことわざ「蟷螂の斧」
「蟷螂」を使った言葉として「蟷螂の斧」ということわざがあります。読み方は「とうろうのおの」。意味は「非力な者が身の程を知らずに強敵へと立ち向かい、無謀な抵抗を試みることのたとえ。」です。このことわざで登場する「蟷螂」はカマキリのことを指しており、かまきりが相手にかまわず、斧に似た前肢を上げて立ち向かっていく様子からつきました。
蟷螂の斧の関連語
「非力なものが強敵に立ち向かい、無謀な抵抗を試みる」という意味を持つ「蟷螂」を使ったことわざ「蟷螂の斧」の関連語には、「抗する」「立ち向かう」「窮鼠猫を嚙む」などがあります。共通する意味として「人に意見や指示などに従わないこと。」が挙げられます。
「抗する」は「抵抗する」の古い言い回しのこと、「立ち向かう」は「相手に対して、正面切って相対する。」、「窮鼠猫を嚙む」は「追い詰められた弱者が、最後の力をふり絞り抵抗すること。」であり「覚悟があれば、弱者でも強者を苦しめることがあるたとえ。」を意味しています。
蟷螂の斧の類義語
「蟷螂の斧」の類義語として「逆らう」「盾突く」「反抗」「抵抗」「歯向かう」「手向かう」などがあります。
「逆らう」はある方向に対して逆の方向に進むという意味のため、従わない程度は大きいといえます。それに比べて「盾突く」は特定の人に対して、よりはっきりと反対の意志を示している言葉といえます。
「反抗」は「逆らう」という意味でも「自分の主張を貫く」という意味で使われ、言葉によるものが多いです。「抵抗」は外からの力に張り合って跳ね返そうとすることをいい、言葉だけでなく、武力などに訴えることが多いです。
「歯向かう」や「手向かう」は、行動に訴える場合に使います。さらに「手向かう」はその字の通り、腕力などを用いる場合にいいます。
蟷螂を使った名称
「蟷螂」を用いた名称には「蟷螂山」があります。「蟷螂山」とは、京都で行われる祇園祭の前夜祭に巡行する山車のことです。屋根の上にからくりの施されたカマキリがおり、鎌を振り上げるように動きます。この「蟷螂山」ですが、「とうろうやま」とも「かまきりやま」とも読むことがあるそうです。
「蟷螂」を用いた名称として他にも「蟷螂拳」というものがあります。「蟷螂拳」とは中国武術の門派の1つのこと。その名の通り、カマキリのような手の動きを取り入れたものです。「とうろうけん」と読みますが、「カマキリ拳法」と呼ばれることもあります。
さらに「螳螂擬(カマキリモドキ)」という昆虫も存在します。カマキリに似ており、前胸は細長く、前脚は鎌状。ただし、カマキリと異なり、翅は透明で翅脈は網目状になっています。
蟷螂のまとめ
いかがでしたか?今回は「蟷螂」について紹介しました。2つある読み方や「蟷螂」を使ったことわざなど、覚えておくと便利だと思います。ぜひ日常でも使ってみてくださいね。