「チープ」とは？意味や使い方をご紹介

「チープ」は、安っぽいこと、値段が安いことを表します。ただし、安くて品質が悪いとか、劣っているなどという否定的なニュアンスを含みます。

元になった英語「cheap」も、「安価な、安い」ことを表します。単純に「割安な」ということを指すほか、「チープ」と同様に安っぽいことも意味します。さらに派生して、取るに足らない、くだらない、など軽蔑をの意を込めて使うこともあります。

「チープ」は、商品などに対してネガティブな評価や、感想を述べる際に使います。「チープな品」なら、安価な粗悪品である、安いなりで質が悪いというイメージですね。

ですから、「お値打ち品」や「掘り出し物」などのような、「安くても思いのほか質の良い物」には使いません。このような意味で使う場合は「リーズナブル」（英語：reasonable）が適しています。

また、「チープな映画」なら「低予算でB級っぽい感じ」、「チープなデザイン」であれば「センスがなくて、素人っぽい感じ」といったように、対象によって微妙に異なるニュアンスがあります。

• チープなスピーカーだからか、1週間も経たないうちに音が出なくなってしまった。
• 生地の手触りが滑らかでなく、チープな素材だというのが分かる。
• 間に合わせだから、チープなものでいいよ。
• このデザインだとチープな印象になるから、影をつけて立体的にしてくれるかな。

上述のように「チープ」は、多くの場合ネガティブな意味で用いる言葉です。しかし、安っぽいことにむしろ魅力を感じ、親しみを込めてポジティブに使う場合があります。たとえば、「チープな味が好き」なら、「わかりやすい味だけれどそれがいい」といった感じです。

合わせて、ファッション関連でポジティブに「チープ」が使われている例を2つ紹介します。

「チープ・シック」（英語：cheap chic）とはアメリカ発祥の語句で、無駄にお金を費やさずに、安価でも洗練された着こなしを楽しもうという考え方です。「chic」は英語で上品、垢抜けしているという意味です。

「チープ・シック」の語源は、アメリカのジャーナリスト、カテリーヌ・ミリネア、キャロル・トロイの共著の書籍にあります。『チープ・シック お金をかけないでシックに着こなす法』という題名で、日本語訳も出版されています。

1975年に発売された書籍ですが、現代でも十分通用する考え方と言えるでしょう。後述する「プチプラ」にも共通する部分がありますね。

シンプルで着やすく、飽きが来ないアイテムを選ぶこと、上質な古着を手に入れること、靴やアクセサリーなどの小物以外は安価でもコーディネートが楽しめることなどが紹介されています。
 

「チープ・カシオ」とは、時計メーカー『CASIO』が展開する『カシオ スタンダード』のラインナップモデルの愛称です。そのほとんどが数千円台という低価格帯で、若い世代を中心に、幅広い層の人気を集めているようです。「チプカシ」と省略して呼ばれることもあります。

「チープ・カシオ」と愛称がついたのには、以下のような理由が考えられます。

• お手頃な価格で販売されている
• シンプルでレトロなデザインが、かえっておもちゃのようで可愛い
• 低価格でありながら機能性が高く、丈夫で長持ちする

「安かろう悪かろう」（やすかろうわるかろう）は、値段が安いものは、品質も悪いだろうという意味のことわざです。安いものによいものはない、とも言い換えられます。「チープ」の否定的な意味合いに似ていますね。

【例文】

• ポケットに穴が空いていたので、やっぱり安かろう悪かろうは本当だと感じた。
• 激安価格で買ったボールペンはすぐにインクが切れる。安かろう悪かろうだな。

「プチプラ」は、値段が安いことを表します。プチは”petit”、フランス語で小さいという意味です。プラはプライス”price”の略語、値段を表す英語です。2010年代から広がりを見せ、当初は若い世代で用いられましたが、中高年層やシニア世代にも広がりを見せています。

主に女性のファッションやコスメ、香水やファスト・ファッション（流行を追ったデザインで価格を抑えめにした衣服や雑貨）などに使われます。「チープ」と意味は同じですから、否定的な印象を受ける方もいるかもしれません。

しかし、「プチプラ」を好む方にとっては、「チープ・シック」のイメージに近く、「安価で入手しやすい」「安いのにブランドっぽく見える」「安いけれど使いやすい」のように前向きにとらえられています。

【例文】

• 娘が可愛いリップをプレゼントしてくれたのがきっかけで、すっかりプチプラコスメにはまっています。
• プチプラネイルを全色揃えて、あれこれ楽しみながらつけてます。
• 似合うかどうか心配な色柄でも、プチプラの洋服なら気軽に試せるよね。