「美辞麗句」の意味
まず、「美辞麗句」の読み方ですが、「びじれいく」と読みます。意味としては、”巧みに美しく飾り立てた言葉”です。
「美辞」は文字通り”美しい言葉”という意味を表します。「麗」という字には、麗しい・あでやかなといった意味がありますので、「麗句」はそのようなきらびやかな文句という意味になります。つまり、「美辞麗句」は、同じような意味の言葉を重ねるタイプの四字熟語ですね。
また、この言葉の裏を返えすと、”内容の伴わない、真実味の乏しい言葉”となります。これは、美しい賛辞の言葉をさらに美しく飾り立ててしまう事で逆に中身のない言葉になってしまうからです。よって、褒め言葉としてはあまり使われません。
巧みに飾り立てた言葉とは
「美辞麗句」における”飾り立てた言葉”の具体例です。
- 営業の仕事で「美辞麗句」を並べ立て商品を売りまくった。おかげでノルマを達成できた。(この場合は、対象となる客に発する”とてもきれいです”とか”10歳は若く見えます”とか相手が喜ぶような褒め言葉を指します。
- あなたの前ではいかなる女性も霞んでしまう。(大げさに、または華美に褒めたたえる文句です。)
- 彼は「美辞麗句」を上げ連ねて、追及の場を切り抜けた。(彼は耳障りの良い言葉を連発して、窮地を乗り切った)
内容の伴わない言葉とは
- 新築マンションの宣伝用パンフレットは「美辞麗句」だらけで実際は大したことなかった。(”全室オーシャンビュー”とか”豪華な室内”とかの宣伝文句の割には、かろうじて海が見える程度だったり、安物の壁紙を使用していたりと内容の伴わない言葉を指します。)
- 選挙演説中の政治家は「美辞麗句」ばかりで当選すると何もしない。(”働く女性の味方です”など有権者の耳障りの良い言葉を指します。)
- 彼女に対して心にもない「美辞麗句」を並べて、その後自己嫌悪に陥ってしまった。(彼女にすぐ嘘だとわかる巧みな褒め言葉を並べて、後で心苦しくなってしまった)
「美辞麗句」の間違った使い方
例えば、花嫁が、披露宴の席においてたくさんの褒め言葉を受けた場合、それに対して「たくさんの心のこもった美辞麗句をありがとうございます」とは、言いません。
同様に「彼からの美辞麗句のたくさん詰まったプロポーズに心を打たれた」のような使われ方もしません。
「美辞麗句」の類語
「美辞麗句」の類語には、四字熟語・カタカナなどいろいろありますが、特徴的な言葉をピックアップしてみました。「美辞麗句」との微妙な違いも押さえておきましょう。
巧言令色
四字熟語の中では「巧言令色」が挙げられます。口先だけで言葉をうまく飾り、取り繕った顔で人にこびへつらう様を意味します。「美辞麗句」にはありませんが、顔の表情も含まれるのが特徴です。
社交辞令
人とコミュニケーションをとるにあたって、スムーズに進行するようにと相手が喜ぶような褒め言葉を発する事です。ただし、”前向きに検討します”とか”困ったことがあったらいつでも相談してください”のような社交辞令は褒め言葉ではないので「美辞麗句」とはニュアンスが異なります。
リップサービス
口先だけで相手を褒める言葉、お世辞です。軽口や調子の良いイメージも伴います。”年をとってもリップサービスの上手な人は人気者だ”といった具合に使われます。
その他、”甘い言葉”とか”レトリカルな”とか”お世辞”などがあります。
「美辞麗句」の英語表現
「美辞麗句」を表現する英語では、”flowery words" や”flatter compliments" や”rhetorical"などが、あげられます。
- This letter is full of flowery words.(美辞麗句ばかりの手紙だわ)
- he felt himself flatterd by the compliment.(お世辞を言われて喜んでいた)
- rhetorical commitment.(口先だけの、美辞麗句を並べた)
「美辞麗句」のまとめ
「美辞麗句」という言葉。褒め言葉としてはあまり使われないようですが、「美辞麗句」を使って難しい局面を打開するのに役立てることはできそうですね。