「迸る」とは?意味や使い方をご紹介

「迸る」と書いてなんと読むかわかりますか?これで「ほとばしる」と読みます。有名な歌の歌詞にも使われている言葉ですが、「水が迸る」「迸る青春」など、小説などでは比較的よく用いられています。今回は、「迸る」の意味や使い方について解説します。

目次

  1. 「迸る」とは
  2. 「迸る」の使い方
  3. 「迸る」の類語
  4. 「迸る」の用例

「迸る」とは

「迸る」<ほとばしる>とは、「激しく飛び散る・噴き出る・勢いよく流れ出る」ことを表します。躍り上がる・跳び上がるなどの意味もありますが、現在では使われていません。

また、「迸る」と漢字表記される場合もありますが、「ほとばしる」とひらがなで書かれることもあります。

「迸」の字義

「迸」は、音読みでは「ヘイ・ホウ」、訓読みでは「たばし(る)・はし(る)・ほとばし(る)」と読みます。逃げる・勢いよく飛び散る・追い払うといった意味があります。

「迸」の構造は、しんにょう+「并」から成っています。「并」は音読みでは「ヘイ」、訓読みでは「あわ(せる)・なら(ぶ)」。合わせる・並べるなどの意味です。

よって、「迸」という漢字は、もともと、一斉に行く・並んで行くことを指していたとされています。

「迸る」の使い方

「迸る」は光や水だけでなく、血や声、感情や雰囲気などに対しても使われます。

  • 岩の隙間から清水が迸っている。
  • 村人たちは、その時、森の奥から迸る光を見たと話している。
  • 彼女の傷口から迸った血が、白いシャツをみるみる染めていった。
  • 誰もいないはずの部屋から物音が聞こえて、悲鳴が迸りそうになった。
  • 普段はおとなしい彼女の口から、言葉が堰を切ったように迸った。
  • 私は迸る激情に任せ、一心不乱に駆け抜けた。
  • 高校球児たちの若さが迸るプレーに感動した。
  • 我々は、彼の迸る殺気に指一本すら動かせなかった。

「迸る」の類語

「奔出」

「奔出(ほんしゅつ)」とは、勢いよく吹き出すことですから、「迸る」とほぼ同じ意味で用いられます。

【例文】

  • 豪雨のせいで堤防が崩れて泥水が奔出した。
  • 彼女は感情が奔出させると、力尽きたように眠ってしまった。

「射出」

「射出(しゃしゅつ)」には複数の意味がありますが、水などが小さい穴から勢いよく吹き出すことという意味もあります。物質に対して用いられますが、「迸る」のように、感情などには使いません。

【例文】

  • 待ち伏せの兵が射出した矢は、彼の胸を貫いた。
  • テッポウウオは口から水流を射出して獲物をしとめる。

「エネルギッシュ」

「エネルギッシュ」とは、精力的・活力がある様子を指す言葉です。物体に対しては用いられませんが、「感情が迸る」に近いニュアンスがあります。

【例文】

  • 彼女のエネルギッシュな活躍は、部のみんなを牽引している。
  • 彼はエネルギッシュな人だった。

「迸る」の用例

『三四郎』

女は青い葉の間から、果物を取り出した。いた人は、(か)にほとばしる甘い露を、したたかに飲んだ。
ー夏目漱石『三四郎』ー

『三四郎』は、ご存知のとおり、『それから』『門』に続く、夏目漱石の前期三部作のひとつですね。引用した場面は、インフルエンザで寝込んでいる三四郎の元を、よし子が蜜柑を持って見舞うシーン。ここでの「女」はよし子、「果物」は蜜柑です。

よし子は、三四郎の憧れの女性・美禰子(みねこ)から言い付けられて見舞いに訪れました。そして、三四郎は、美禰子の縁談相手が、よし子の元縁談相手であったと聞かされ、複雑な心持ちになるのです。

「ほとばしる」とひらがなで記されていますが、ここでは、蜜柑の香りに対して用いられています。

『残酷な天使のテーゼ』

『残酷な天使のテーゼ』という歌の中には、「ほとばしる熱いパトス」というフレーズが登場します。

「パトス(pathos)」は、感動や感情、情熱などを指す、哲学などの分野で用いられる言葉です。よって、「ほとばしる熱いパトス」とは、「激しく噴き出る熱い感情」といった意味でしょう。

『残酷な天使のテーゼ』は、テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニングテーマで、50万枚を売り上げたヒット曲です。作詞は及川眠子、作曲は佐藤英敏が担当。高橋洋子の11枚目のシングルとして1995年にリリースされました。


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