「油を売る」とは?意味や使い方を由来を含めてご紹介

「油を売る」は日常会話などで見られる慣用表現ですが、なぜ油を売ることが「怠ける、サボる」といった意味につながったのか、由来を知っている方は少ないかもしれませんね。ここでは「油を売る」の意味や使い方を由来を含めてご紹介します。

目次

  1. 「油を売る」の意味
  2. 「油を売る」の使い方
  3. 「油を売る」の由来
  4. 「油を売る」の類語
  5. 「油」に関連する慣用表現

「油を売る」の意味

「油を売る」とは、仕事中にこっそり怠けることや、無駄話をして時間を過ごすことを言います。基本的にネガティブなニュアンスで使われる言葉で、現代風に言うなら「仕事をサボる」に近い表現といえるでしょう。

「油を売る」の使い方

「油を売る」は、他人の怠惰な行動を注意・指摘したいときに使います。日常会話やビジネスシーンでも使われている表現なので、使い方さえ間違えなければ、あらゆる場面で用いることができる言葉といえます。

なお「油を売る」は一般的に「短時間・一時的なサボり」のことを指しますので、長期間サボり続けているようなケースでは用いません。たとえば「彼は仕事を辞めてからの5年間、ずっと油を売って過ごしている」といった言い方はしないので注意しましょう。

「油を売る」の例文

  • あいつ帰ってくるのが遅いな。どこで油を売ってるんだか。
  • そんなところで油を売ってないで、早く行きましょう。日が暮れちゃいますよ。
  • 最近はとにかく忙しくて、油を売るヒマもないですよ。

「油を売る」の由来

「油を売る」という言葉は、江戸時代に髪油(かみあぶら)の行商人が、お客さんと長時間雑談をしていたことに由来しています。「髪油」とは整髪料の一種で、江戸時代では、椿、胡麻、菜種、胡桃(くるみ)などから採れる植物油が使われていました。

雑談しながら接客をしていると聞くと、怠けながら仕事をしているイメージを抱くかもしれません。しかし、当時の油は粘り気が強く、お客さんの器に移すまでにはかなりの時間が掛かりました。

長い待ち時間を退屈させないために、当時の行商人はお客さんとたくさん話をして時間をつないでいたというわけです。

つまり、「油を売る」の由来となった江戸の行商人は、必ずしも仕事を怠けていたわけではありません。ですが、事情を知らない人からすると「仕事中なのにだらだらと雑談している」ように見えてしまうかもしれませんね。

「油を売る」の類語

道草を食う

「道草を食う(みちくさをくう)」とは、「目的地へ行く途中で他のことに時間を費やす」「物事の途中で手間取る」ことを言います。馬が道端の草を食べながらゆっくり進むため、なかなか目的地に着かない様子を例えた表現です。

目的達成のためには不要な「無駄な行動」に対して使われることが多い、ネガティブなニュアンスを持つ言葉です。

寄り道をする

「寄り道をする」は、目的地の途中で他の場所に立ち寄ることを指します。「油を売る」や「道草を食う」とは異なり、こちらは「目的達成のためには(結果的には)有用となる行動」に対しても使われます。

「油」に関連する慣用表現

油を注ぐ

「油を注ぐ」とは、行動や感情などをさらに激しく勢いづかせることの例えです。火に油を注ぐと、火の勢いが強くなることに由来しています。「火に油を注ぐ」と書かれることもあります。

油を絞る

「油を絞る」には以下の2つの意味があります。

  1. 過ちや失敗などを厳しく責める
  2. たいへんな苦労をする

「油を絞る」という言葉は、菜種などから油を絞り取ることに由来しています。植物から油を採るためには、かなりの力で絞り出す必要があります。「力をこめてグイグイ圧力をかける」様子が「相手を厳しく責める」イメージにつながったとされます。

脂が乗る

「脂が乗る」とは、魚や鶏などが時期によって脂肪が増え「味が良くなる」ことです。転じて、「調子が出てきて仕事や勉強などがはかどる」という意味でも使われます。

関連するまとめ


人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ